【植物ステロール】しょくぶつすてろーる

「植物ステロール」と聞いて、コレステロールと似ている、と思った人も多いのでは?名前だけでなく、植物ステロールは、コレステロールととても似た構造をしています。
「『植物ステロール』は、植物の細胞を構成する成分のひとつ。これに対し動物由来のものを『コレステロール』といいます。植物ステロールを摂取すると悪玉コレステロール値が下がることがわかっており、40年前から薬剤の成分のひとつとしても使われてきました。ただ、体内でどのように作用するのかなど、くわしいことは証明されていませんでした。近年研究が進み、その働きが明らかになってきたのです」(近藤和雄先生)

 ところで、コレステロールについて多くの人が、「悪い成分」というイメージを抱いているかと思いますが、本来はからだにとって必要な成分です。 「そもそもコレステロールは、内臓、筋肉など全ての細胞膜の構成成分であり、ホルモンの生成にも不可欠。しかし、摂り過ぎると、余分な悪玉コレステロールが肝臓から放出され、血中のコレステロール濃度が上がります。これが高脂血症や動脈硬化、心筋梗塞などを引き起こす原因に」(近藤先生)

 日本人の食生活は元々、野菜や果物、豆類など植物性の食品が中心だったので、コレステロール由来の病気とは無縁だと欧米では思われてきました。「 しかし、食生活が欧米化されるにつれ、80年代以降日本人の血中コレステロール値が上昇してきました。同じ時期、高コレステロールが問題になっていたアメリカは、国策として改善に取り組んだところ、1990年には数値が逆転。特に日本人女性のコレステロール値は、アメリカ人より高いという調査結果が出ています」(近藤先生)  植物ステロールには、この余分な血液中のコレステロールを減らす働きがあるのです。

コレステロールの吸収を阻害する

「植物ステロールは、コレステロールと同様に小腸で吸収されますが、優先的に体に取り込まれるのが特徴。そのため、コレステロールは吸収されず体外に排出され、摂取量が少なくなります。植物ステロールの多くは、腸で吸収された後、再び腸内に出て、多くが便として出てしまいます」(近藤先生)

 一方、良質のミネラルといわれるのが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの必須ミネラル。
「有害ミネラルと必須ミネラルは、体内で“イス取りゲーム”をしていま植物ステロールは、意外に身近な食品に多く含まれているので、意識して摂ってみて。 「100g中の量で比べると多いのは、ごまや大豆食品、ごぼう、いんげん、長いも、切り干し大根など。また植物油に多く、ごま油、なたね油、米油がオススメです。これらの食材は昔から日本で食べられてきたもの。結局、和食が一番、私たちに合っているのです」(近藤先生)
 現代の日本人の1日の植物ステロール摂取量は、100~400mg程度。野菜中心の食生活を送っていた昔の人は、この倍は摂っていたと考えられます。

肉や卵、乳製品を控え、野菜を多く

 さらに、メニューやレシピを工夫することで、植物ステロールを増やし、コレステロールを下げることができます。
「コレステロール値の高い肉や卵、乳製品を控えめにし、豆腐や大豆製品といった植物ステロールの多い食品を優先してメニューに活用を。油も植物ステロールが多い、ごま油やなたね油などに替えると、摂取カロリーを増やさずに植物ステロールの摂取量を底上げすることができます。ただ、高コレステロール値の方は、油を摂りすぎるとカロリーオーバーになるので、なるべく減らすよう心がけて」(近藤先生)

女性は更年期以後、コレステロール値が上がりやすいので、高脂血症に注意が必要です。「コレステロールを管理するには、長く続けることが大切。食べたい植物ステロールの多い食品を料理に取り入れて、いつまでも健康的で若々しくありたいものですね」(近藤先生)
これからのエイジングのためにも、植物ステロールに着目した生活を、いまから始めてみませんか?

左:コレステロールが気になる方に。ネイチャーメイド 植物ステロール(120粒)¥1,869/大塚製薬
右:大豆由来の植物ステロールに紅麹エキスなどをプラス。植物ステロール(90粒)¥945/ DHC

お話を伺ったのは/近藤和雄先生。医学博士。お茶の水女子大学大学院教授。生活習慣病の治療と、食物の関わりについて研究している。植物ステロールに早くから着目し、研究会発起人を務める。監修本に『中性脂肪を減らす食事』(成美堂出版 1,260)など。