【イチョウ葉エキス】いちょうはえきす

 秋に扇形の葉が黄色く色づき、銀杏の実をつけるイチョウ。その葉から抽出した成分が、イチョウ葉エキスです。
「イチョウは、中国が原産の現存する最古の植物です。日本には仏教の伝来に伴って入ってきて、各地の寺院に植えられ、広まりました。種子である銀杏は、食用のほか、心臓や肺、ぜんそくなどの治療薬として古くから用いられていたようです」(植松大輔先生)

 ただし、葉にはアレルギーの原因となるギンコール酸が多く含まれるため、活用されてきませんでした。
「20世紀中頃、イチョウの生命力や、葉に含まれる成分に着目したドイツの製薬会社が、イチョウの葉を日本から輸入し、有効成分の抽出に成功。多くの臨床試験を経て、1966年にドイツ、'75年にフランスで医薬品として承認されました。いまでは脳や末梢循環改善薬として、ヨーロッパを中心に35カ国以上の国で処方されています」(植松先生)

 そんなにすぐれた成分とは、どんなものなのでしょうか。「主成分のフラボノイドには、末梢循環の改善や、脳動脈硬化の抑制、抗酸化作用などがあります。イチョウ葉特有の成分・ギンコライドBには抗酸化作用があり、血管の炎症や血栓ができるのを予防し、アレルギー症状を改善します。また、ギンコライドCとJには、血液をサラサラにして、血流をよくする効果が」(植松先生)

 全身の血管に作用するので、三大成人病の予防のほか、さまざまな不調の解消に役立ちます。「実際の効果として、冷え性や肩こり・腰痛、頭痛、めまい、耳鳴り、高血圧、EDなどを改善することがわかっています。また、うつ病患者が服用したところ、半数の症状が軽くなったという結果も」(植松先生)
 その中でも特に期待されているのが、脳機能の改善と脳細胞の活性作用です。「脳血管の動脈硬化によって脳の血流が悪くなると、脳の働きが低下し、悪化すると認知症を引き起こします。イチョウ葉エキスの成分は脳の血行を促進するので、高齢者の記憶力や思考力、集中力が改善され、海外では認知症の治療にも用いられています」(植松先生)

30~40代からの摂取でより効果が

 からこと世代にとって認知症は先の話と思いがちですが、実は若い頃のライフスタイルが脳に影響した結果なのだとか。「日本で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。これは、40~50代から脳内に溜まり始める、『アミロイドβ』というたんぱく質が原因といわれています。実は、イチョウ葉エキスには、脳内のアミロイドβを除去する作用があるんです」(植松先生)

 はっきりとした理由はわかってはいませんが、認知症は女性に多く、その数は男性の2倍!「予防のためには、40代から摂っておくべき成分です。また、40代を過ぎていても、脳機能の改善や症状の軽減につながります。物忘れが気になる方やうつ傾向の方、集中力をアップさせたい受験生がいるなら、家族みんなで摂るのもいいでしょう」(植松先生)
 また、からこと世代の女性に多い、冷え性で血のめぐりが滞りがちな状態・東洋医学でいう“お血”(おけつ)体質の人にもおすすめです。
「血流をよくするので、肌の乾燥やくすみといった肌荒れ、白髪や抜け毛の改善など、美容面でのアンチエイジングにも効果が。月経不順や便秘、更年期障害も改善にも役立ちます」(植松先生)

購入時は成分量を必ずチェックして

 日本ではイチョウ葉エキスが医薬品として承認されておらず、健康食品には明確な基準がないため、購入時には注意が必要です。
「イチョウ葉エキスと書かれたサプリメントには、医薬品と同じ品質のものと、抽出方法が異なるものがあります。安心できるメーカーの商品を選んで。また、含有量も日本健康・栄養食品協会の規格基準『フラボノイド類を24%以上、テルペノイド(ギンコライドなど)6%以上を含有し、ギンコール酸の含有量が5ppm以下』を目安にしてください」(植松先生)
 常用している薬がある人は、サプリメントを摂る前に医師や薬剤師と相談を。イチョウの葉の有効成分がしっかりつまったサプリメントで、脳から肌まで全身のアンチエイジングに挑戦していきましょう。

現在、ドイツではエキス抽出のためのイチョウ葉が栽培されています。春から秋にかけて、フラボノイドとテルペノイドの含有量がベストな時期に収穫し、抽出しているそう。

お話を伺ったのは/植松大輔先生医学博士。植松神経内科クリニック院長。総合内科・神経内科・脳卒中専門医。慶應義塾大学神経内科非常勤講師。西洋医学と東洋医学を融合した統合医療に基づく診療を実践する。日本におけるイチョウ葉エキス研究の第一人者。