【地黄】じおう

「地黄」とは、ゴマノハグサ科の植物「アカヤジオウ」の根や茎のこと。薬効があり、漢方薬の原料に用いられています。
 もともとは中国、モンゴル、韓国など、東アジアの乾燥した地域に広く自生する植物。中国では、日本のタンポポのように、どこでもよく見られる植物でしたが、最近は急激な都市化によって激減しているようです。

 日本には9~10世紀に伝わり、薬の原料として栽培されていましたが、湿気の多い日本では育ちが悪く、根づきませんでした。しかしその名残で、今でも奈良県、大阪府などに地黄という地名が残っています。また、北海道など一部の地域では今も栽培されています。

「地黄の鉄分が生薬の中で一番多く、衰弱した体を回復させる滋養強壮効果が高いと言われています。市販の風邪薬や漢方薬にも含まれていますよ。ドラッグストアで売っている滋養強壮の栄養ドリンク剤にも配合されています」(荒浪暁彦先生)
 地黄という名前はあまり知られていませんが、養命酒にも入っていたりと、実は意外に身近な生薬なのです。

血めぐりをよくし女性の不調を改善

 近年、町の病院でも漢方薬を処方するところがふえてきました。地黄は、皮膚科で処方される漢方の多くに含まれているとか。「東洋医学では、体を動かすエネルギーである“気、血液や栄養をめぐらす“血、水分の循環をつかさどる“水の3つのバランスを整えることが健康には必要と考えます。地黄は、この中で“血に対して強い薬効があります。血のめぐりがよくなることで肌にうるおいや栄養が行きわたり、新陳代謝が活発に。そのため、地黄はアトピー性皮膚炎やひどい乾燥、吹き出物などの症状を改善するために処方されます。シミやしわを防ぐ、アンチエイジング効果も期待できますよ」(荒浪先生)

 また、地黄を含む漢方薬は、女性特有の不調に効くものが多いため重宝されています。「定期的に月経がある女性は、“血のめぐりの影響を受けやすい体質なんです。地黄の血めぐりに対する作用は、冷え性や貧血、むくみを改善します。また、女性ホルモンのバランスも整うので、婦人病の予防にも」(荒浪先生)

 地黄が含まれる代表的な漢方薬として3つをご紹介します。

●四物湯(しもつとう)冷えと乾燥を解消し、ホルモンのバランスを整える効果がある
●八味地黄丸(はちみじおうがん)体の弱った機能を助け、肩こりや頻尿、更年期障害、老化防止
●温清飲(うんせいいん)乾燥肌タイプのアトピー性皮膚炎によく用いられる。かゆみや赤み、出血を軽減する

「ただし、漢方薬はそれぞれの体質に合ったものでないと効果を得られません。まずは漢方専門の医師や薬剤師に相談の上、服用することをお勧めします」(荒浪先生)

毎日のお手入れに取り入れて美肌に

 一般的に薬として服用されてきた地黄ですが、塗っても効果があることがわかってきました。「江戸時代には、すでに地黄を配合した軟膏があったようです。今では地黄の成分が含まれた化粧水や石けん、入浴剤などがあります。くわしいメカニズムは解明されていませんが、うるおいを与えたり、皮膚炎のかゆみや赤みをおさえるなど、肌を整える効果が高いこともわかっています」(荒浪先生)
 荒浪先生が、アトピー性皮膚炎の患者さんたちに地黄入りの石けんを使ってもらったところ、9割近くがかゆみが軽減され、肌状態がよくなったと回答したそうです。
「服用したときと同じような効果が出ているので、肌のアンチエイジングにも効くのではと考えています。実際に肌がしっとりうるおって、ハリが出たという人も」(荒浪先生)
 肌のトラブルや老化が気になる女性にとって、地黄は日常でも上手に取り入れたい生薬といえそう。乾燥の気になる冬は、地黄配合の基礎化粧品を毎日のお手入れに使ってみては。健康的な美肌キープに役立ってくれそうです。

左:地黄をはじめ、美肌効果のある生薬を贅沢に配合した高機能石けん。枠練り製法で約60日間かけて成分を凝縮させている。漢流美研ゴールド(100g)¥2,850/キュア&ケア

右:地黄200mg相当や鉄分などを配合した、疲労回復ドリンク。第2類医薬品。アルフェエフイーアップ(50ml)¥286/大正製薬

お話を伺った先生
荒浪暁彦医師。静岡・千葉あらなみクリニック総院長。皮膚科医として漢方を取り入れた治療を行う。慶應義塾大学漢方医学センター非常勤講師も務める。著書に『アトピー漢方治療革命』(メディア・パル¥1,260)。