【大麦】おおむぎ

 紀元前6000年のメソポタミア文明ですでに栽培されていた大麦。日本では弥生時代から栽培されてきまたが、最近になって再び注目を集めています。 「海外では2 0 0 6年に米国が大麦を『健康強調表示食品』認定。それに続いて2012年から2013年にかけてカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、EUなども認定し世界的に健康によい食べ物という認知が広まっています。日本でも、2013年に日本健康・栄養食品協会が①血中コレステロールを正常化する②食後の血糖値を上がりにくくする③満腹感を持続する点で、食品成分機能を評価しました」(池上幸江先生)
大麦には食物繊維が100gあたり9.6gと豊富に含まれており、これは玄米の約3倍、精白米の約20倍。ですです。

 「大麦は、食べる部分の“胚乳” に食物繊維がたくさん含まれています。お米は胚乳の外側の果皮、種皮、糊粉層からなる『ぬか層』に食物繊維が含まれているものの、精白すると取り除かれてしまうんです。ぬか層がついたままの玄米でも、食物繊維は他の穀類に比べて多くはありません」(池上先生)
 また、大麦は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が6:4と、別々の役割を果たす2種類の食物繊維がしっかり含まれている点でもすぐれています。野菜に多く含まれる食物繊維はほとんどが不溶性。水溶性食物繊維をたっぷりバランスよくとるには、大麦が最も効率的です。

水溶性植物大麦β-グルカン

 大麦の水溶性食物繊維の大部分がβ-グルカンという成分。このβ-グルカンは、大麦がもつ健康効果において中心的な働きを担うと考えられています。
「大麦は体の中で水溶性食物繊維が粘性を持ち、消化吸収をゆっくりにします。さらに、食後の血糖値の上昇を抑え、糖分を脂肪に変わりにくくするんです。これが、大麦が糖尿病予防やダイエットによいといわれる理由。朝食で大麦を食べると、昼食、夕食でも血糖値が上がりにくくなるので、ダイエットでは特に朝食で食べるのがおすすめですよ」(池上先生)

 また、満腹感効果や便秘解消効果も、ダイエットにはうれしいポイント。
「食物繊維が多いので、自然とよく噛んで食べますし、ゆっくり吸収されるから満腹感が持続します。また、便の量を増やし便通をよくする不溶性食物繊維と、便をやわらかくするとともに腸内環境を整えてぜん動運動を促す水溶性食物繊維がバランスよく含まれているため、便秘が解消されるんです」(池上先生)。
 その他、免疫力をアップし、アレルギーや高血圧防ぐなど、大麦のメリットはたくさん!

白米に3割混ぜて毎日の主食で

 私たちが大麦を食べるときは、外皮を除いて加工した「精麦」したものを購入します。精麦は加工の仕方によって名前が変わり、主流の押麦の他、米粒麦、白麦、大麦粉などがあります。
「私は30年間毎日大麦を食べていますが、個人的に好きなのは、癖がなくて食べやすい米粒麦。白米に3割ほどの精麦をまぜて主食にするのが一番簡単で食べやすい方法ですが、スープやサラダにアレンジしてもいいですよ」(池上先生)
 最近では大麦入りのパックごはんやクラッカーなど、いろいろな種類のものが商品化されています。自分で作るのが面倒なときも、毎日の食事に上手に取り入れて、健康な体作りに役立ててみませんか。

お話を伺った先生
池上 幸江先生
薬学博士。大妻女子大学名誉教授、独立行政法人 国立健康・栄養研究所名誉所 員、大麦食品推進協議会会長。30年にわたり大麦研究の第一人者で、テレビ、雑誌など数多くのメディアで啓蒙活動を行っている。
http://www.oh-mugi.com/