【オーソモレキュラー】おーそもれきゅらー

 「栄養療法」「分子整合栄養医学」などと訳される「オーソモレキュラー療法」。簡単にいうと、適切な栄養補給で病気や不調を治す治療法です。血液検査から診断した状態に合わせ、栄養の摂り方を医師が指導します。
 「細胞は摂った栄養で作られますが、その栄養が足りなかったり、多すぎたりすると、さまざまな不調に。栄養濃度を適切な値にすることで細胞の自然治癒力を高め、不調を改善するのがオーソモレキュラーです」(新宿溝口クリニック・溝口徹先生)

 オーソモレキュラー療法は、1960年代、アメリカやカナダで精神病治療の一環として取り入れられたのが始まり。カナダ人の精神科医エブラハム・ホッファー博士と、ノーベル賞受賞者でもあるアメリカ人の学者、ライナス・ポーリング博士の2人が中心となって、精神疾患やがんを適切な栄養で改善する治療法として確立していきました。ちなみに「オーソモレキュラー」とはポーリング博士の造語で、「ortho=整える」と「molecule=分子」を組み合わせたもの。分子は細胞の栄養のことを指し、「栄養を整えることで病気を治す」という意味合いです。

サプリ・糖質制限・点滴でアプローチ

 オーソモレキュラー療法は、3つの方法で行われます。ひとつは、「サプリメントを中心とした栄養アプローチ」。詳細な血液検査の結果に基づいて適切なサプリメントを処方し、食事の内容も指導して体の栄養状態を改善します。
 「オーソモレキュラー療法では個々の病気や不調を治すために適切な量の栄養素を摂る必要があります。一般的に必要とされている量に比べて100倍以上になることも。当然、食事だけでは量が足りないので、サプリメントで栄養をコントロールすることになります」(溝口先生)

 血糖を調整するための「糖質コントロール」も、大切な柱。現代人は、ほとんどが糖質過多と言われており、それが原因で病気や体調不良になることも少なくありません。
 「糖質過多で不調になっている人にまず大切なのは、血糖値の上昇をゆるやかにすることです。ごはんやパンを食事の最後にするなど、食べる順番を変えたり、量を減らす他、人によっては厳しく糖質を制限することもあります」(溝口先生)

 残るひとつは、「高濃度ビタミンCによる点滴療法」。これは主にがんや精神疾患、皮膚疾患の治療が対象ですが、アンチエイジングを目的に行うことも。
 「基本はサプリと食事の指導。必要に応じて点滴を取り入れます。症状や、こうなりたいという個人のリクエストに合わせて、血液検査の結果を見ながら対応していきます」(溝口先生)

がん、精神疾患、アレルギーも改善

 オーソモレキュラー療法による治療は、さまざまな分野で効果をあげています。
 「特に注目されているのが、がん治療。オーソモレキュラー治療を受けた人の方が、受けなかった人より20倍以上長生きしたというデータもあります。それから、うつ、パニック障害、PMS(月経前症候群)、更年期障害などの精神的な症状の改善にも高い効果が。不妊症、膠こう原げん病、リウマチ、アレルギーの改善例も多いですね。肌のくすみが取れ、ハリが出たなど、美肌効果に喜ぶ声もよく聞かれますよ」(溝口先生)

 実際の治療の流れは、初回に問診と血液検査を実施。2週間~1カ月後に出る結果に基づき、サプリメントと食事指導を受けます。その3~6カ月後に2回目の血液検査をして、症状の改善状況を確認します。保険適用外なため医療機関によって費用が異なりますが、溝口先生のクリニックの場合、基本検査料21,200円+1カ月のサプリ代15,000~80,000円です。

 オーソモレキュラーを行う医療機関は全国で約700あり、「オーソモレキュラー.jp」http://www.orthomolecular.jp/で検索できます。興味のある方、今の治療法ではなかなか病気や不調が改善されない方は、一度相談してみては。

お話を伺った先生
溝口徹先生
新宿溝口クリニック院長。横浜市立大学医学部附属病院、国立循環器病センター勤務を経て、2003年に栄養療法専門クリニック、新宿溝口クリニックを開設。『「女性の脳」からストレスを消す食事』(知的生きかた文庫¥617)など著書多数。