あなたは大丈夫? 女性の鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血の患者数は推定1000万人といわれています

貧血の中では最も多い鉄欠乏性貧血。昔に比べると食糧事情は良くなっているのに鉄欠乏性貧血は増えています

日本は“貧血列島”!!

 近ごろ、体がだるい。肌に血の気がなく、動悸や息ぎれがする…。こんな症状がある人は、鉄欠乏性貧血の可能性を疑ってみましょう。

 鉄欠乏性貧血は、最も頻繁に見られる貧血。全身に酸素を運ぶヘモグロビンは鉄とたんぱく質でできていますが、体内の鉄が不足するとヘモグロビンの数が減少し、いろいろな臓器や組織が酸欠状態になります。これが鉄欠乏性貧血です。

 もともと女性は、月経の影響で鉄を失いやすいもの。日ごろ、体内で余った鉄分は肝臓で貯蔵され、食事などからの摂取が減ってもそれを活用していますが、マイナス状態が長く続くと、鉄欠乏性貧血になってしまいます。

 この病気自体は貧血の中ではいわば“ありふれた”ものですが、問題なのは、無理なダイエット、不規則な食事、偏食などの広がりにより社会的に治りにくくなっていること。秋田大学医学部の澤田賢一教授は、これまでの報告者のデータをもとに、統計に表れていない潜在型を含めて、日本女性の鉄欠乏性貧血患者は1000万人にのぼると推定しています。「いまや“貧血列島”といっても過言ではないでしょうね」(澤田教授)

爪が変形する人も

 鉄欠乏性貧血は“ありふれた”ものとはいえ、決してあなどることはできません。肌に血の気がない(雪白感)、だるさの他、異常な眠気におそわれる、めまい、頭痛、動悸、息ぎれといったさまざまな不快症状が現れます。また、集中力が低下して、イライラや無関心に陥る人もいます。

 さらに、特徴的な症状として、爪がそり返り、中心がくぼんだスプーン状になることも。これは匙状爪(しじょうづめ)と呼ばれる症状です。

 このような症状が現れたら何らかの手を打つ必要がありますが、鉄欠乏性貧血は徐々に進行するため、体の方が貧血状態に慣れてしまい、そのサインを見逃すこともしばしばです。そのため、健康診断がきっかけで発見される人もあるようです。

 鉄欠乏性貧血は、血液検査で鉄欠乏などを示すデータによって、容易に判明します。しかし、貧血を根本的に治すには、鉄分不足の原因をはっきりさせることが大切です。
 原因としては、食事からとる鉄分の不足、過剰な喪失、吸収不全などがあげられますが、内臓器官からの出血(胃や十二指腸の潰瘍、がん、子宮筋腫など)が原因ということもあります。鉄不足の原因によっては治療法が異なる場合もあるので、鉄欠乏性貧血のサインをキャッチしたとき、あるいは健診で指摘されたときは必ず詳細な検査を受けるようにしましょう。

貧血を予防・改善するための食生活!

 貧血の治療には、鉄剤が処方されるのが一般的ですが、予防や改善には、毎日の食生活を見直すことがポイントです。
 まず、食事時間をなるべく規則的にすること。
 3食の食事を、毎日できるだけ同じ時間にとるのがいいのです。
 食事の内容は、血液(赤血球)を作るのに必要な成分は欠かさずに。次の成分を積極的にとるようにします。

・鉄分……レバー、海藻、緑黄色野菜、かき
・たんぱく質……魚、肉のささみ、赤身、牛乳、卵
・ビタミンB12……ハマグリ、イワシ、サケ
・葉酸……レバー、卵黄、緑黄色野菜
・ビタミンC……果物、野菜

 ビタミンCは鉄分の吸収を助けます。また、香辛料、酸味のあるものなども、胃散の分泌をうながし食欲を高め、鉄分の吸収をスムーズにするので、とり入れるといいでしょう。

 忙しい毎日、仕事や恋愛にパワフルにとり組みたくても、貧血状態ではむずかしい……。鉄分を意識的に摂取して、いつも“活動スタンバイ”OKな、元気な自分でいたいですね。

(「健康のひろば」、法研より)

【取材協力】
澤田賢一氏


秋田大学医学部第3内科教授

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