妊娠の前にしておきたいママの準備-内科・婦人科検診、ワクチンなど

母体の健康状態を整え、順調な妊娠・出産に備えたい

必要な検査や健康管理を行い、月経のリズムを意識。これまで以上に自分の体を観察して、知ってほしい

妊娠にあたって心構えをしておけると理想的

 「赤ちゃんが欲しい」と思ったとき、まず考えてほしいことがあります。
 気づいたら妊娠していた……、そして無事に生まれた……、無事に育っている……、それではいけないの? という考え方もあるかもしれませんが、あらかじめ準備しておけば無用のトラブルが避けられます。

   日本は先進国の中でとりわけ「計画外の妊娠」の多い国であるといわれています。避妊についての知識や意識もあまり高くないという意見もあって、妊娠にあたって心構えをしていないことの現れだとも感じます。
 20歳代のカップルでは、妊娠してから結婚を考える「おめでた婚」が30%くらいという調査結果もあります。

   しかし、夫婦の生活の中に赤ちゃんを迎えるのは、楽しみとともに責任も生じますし、物心両面の準備をしていかなくてはなりません。子どもとともに親として徐々に成長していくものなのでしょうが、まずはその第一歩として心構えをもって妊娠を考えられたら理想的です。

内科、婦人科のチェック、ワクチン接種や生活上の注意

 妊娠生活を健康に送るために、最も重要なことは母体の健康状態です。
 妊娠を考え始めたら、まず、健康診断や人間ドックなどで、内科的なチェックを受けておく必要があります。妊娠中は検査や治療が限られてしまいます。妊娠期間中を健康で過ごすために治療しなくてはならない病気がないか、生活上で気をつけておくことがないか知っておきたいものです。具体的には、問診、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査(貧血の有無、コレステロール、中性脂肪、尿酸、血糖、電解質、腎臓・肝臓機能検査など)、心電図、胸部レントゲン、歯科検診などですが、これらは必ず受けるようにしましょう。

 内科的な検査だけでなく、婦人科で子宮や卵巣の健康状態を知るための、子宮がん検査、内診、子宮や卵巣の超音波検査、おりもの検査を受けておきましょう。この検査によって妊娠前に治療しておかないといけないような卵巣の病気や子宮筋腫、子宮内膜症などがないか、子宮がんやクラミジア、カンジダ、淋菌、トリコモナスといった感染症がないかを調べます。

 また、妊娠中に感染すると胎児に影響が出るような感染症、たとえば風疹(三日ばしか)、水痘(水ぼうそう)や流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に対する免疫力をもっているかどうか(抗体が自分の体内にあるかどうか)も調べておくといいでしょう。風疹や水痘では、妊娠中に初めて感染すると胎児にも感染が起こることがあり、その場合、赤ちゃんの目や耳に不具合が生じたり、精神的発達に遅れが出たり、流産や早産になる場合があるといわれています。流行性耳下腺炎では、流産の可能性が高くなるといわれています。

 これらの感染症については、妊娠前にワクチンを接種することで妊娠中の感染を予防できます。ただ、妊娠中とくに妊娠早期にはワクチンを接種できませんので、接種前1カ月間と接種後2カ月間は確実に避妊をしておくことが大事です。以前にワクチンを接種したことのある方でも、その効力が何らかの理由で弱まっていることがあります。十分な抗体を自分がもっているかどうかは血液検査で知ることができます。ぜひチェックを受け、抗体が不十分ならワクチンを接種しておきましょう。

 加熱不十分な肉やネコの排泄物には、トキソプラズマ(原虫の一種)という病原体が含まれていることがありますが、妊娠直前や妊娠中に初めて感染すると赤ちゃんの目や耳、脳に影響が出ることがあります。肉料理は十分に加熱したものにすること、生肉を調理したときに使った調理器具や手は十分に洗ってから他の食材に触ること、ネコとの過剰な接触は避けること、ネコの排泄物が混入している可能性のある砂には直接触れないなど、普段の生活にはない注意が必要です。ネコを飼っている人は一度産婦人科医に相談してみるといいでしょう。

月経リズムを意識し、妊娠が疑われるときは早めに産婦人科を受診して

 積極的に妊娠を考える段階になったら、自分で自分の体を知るために、月経のリズムについて意識することが大切です。日ごろから基礎体温表を記録するといいでしょう。

 予定の月経よりも1週間程度遅れるようなら市販の妊娠検査薬で検査をしたり、産婦人科を受診したりするなどして、早い時期に妊娠かどうかを確認しておきましょう。  妊娠検査薬で妊娠という結果が出た場合は、なるべく早く産婦人科医の診察を受けましょう。大抵の妊娠は問題ありません。でも中には、子宮外妊娠や異所性妊娠、絨毛性疾患といった病的な妊娠の場合もあります。もし病的な妊娠であっても、早い診断により体へのダメージを最小限に抑えた治療を受けることが可能になります。

 妊娠を考え始めたら、これまで以上に自分の体をよく観察して知っておくことで、自分自身の体を守りながら順調な妊娠・出産に備えることができます。

 最近、妊娠・出産される方たちの年齢が上ってきています。残念ながら、年齢が上れば上るほど妊娠・出産にはリスクが大きくなっていきます。妊娠や出産に関連したさまざまな合併症が少ないのは22~24歳前後であるというデータがありますので、これを過ぎた年齢で妊娠を考え始めたなら、なるべく早めに具体的に考えていきたいものです。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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