子宮頸がん検診の重要性-痛みのない検査で早期発見ができる

積極的に検査を受けて今の体の状態を知り、結果を生かそう

子宮頸がんは、がんになる前の異常を発見できるがん。早期に見つければ軽い治療で乗り切れる

子宮頸がんにまつわる最近の話題

 最近、予防ワクチンや病名の呼び方のことなど、新聞、雑誌、テレビなどで子宮頸がんの話題が取り上げられることが増えています。
 「子宮がんと呼ばないで」という新聞の見出しに「どういうことだろう?」と興味をひかれたり、「じゃあ、何と呼ぶのだろう」と疑問を感じた方もいたと思います。「子宮がん」と一まとめに呼ばれていた二種類のがんを、今後は「子宮頸がん」、「子宮体がん」と二つに分けて呼んでいこうという話なのです。

 子宮は全体として白熱電球のような形をしています。ソケットに差し込む、電球の金属部分に当たるところを子宮頸部、球状のガラス部分にあたるところを子宮体部と呼んでいます。子宮頸部にも子宮体部にもがんができる可能性があるのですが、がんの特性が全く異なっています。がん細胞の種類やタイプも違いますし、原因、病気の進み方、どういう人にできやすいかという患者さんの特徴も異なります。もちろん治療法もずいぶん異なります。
 これまでは、それを同じ子宮にできるがんだからと、患者数調べなど一緒にして集計していたのを、きちんと区別していこうという話になったわけです。

 また、ワクチンで子宮頸がんを防ごうというテレビコマーシャルが流れています。子宮がんのうち子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が大きくかかわっているのですが、このウイルスの感染を防ごうというのが子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)です。
 しかし、がんといえば早期発見・早期治療が重要であることには変わりありません。検診を積極的に受けておくことが必要です。

20歳以上の女性は、2年に1度は子宮頸がん検診を少額の負担で受けられる

 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは主に性交渉によって感染し、女性の約8割が、一生に一度は感染するといわれるほどありふれたウイルスです。感染しても9割以上の女性では体の免疫作用によって排除されますが、ごく一部が感染したまま細胞の遺伝子に変化を起こし、さらにその一部ががん化します。感染から子宮頸がんになるまでには、通常数年から10年以上かかります。

 子宮頸がんはほかのがんと違い、がんになる前の段階で見つけることが可能なため、早期に見つかれば、子宮頸がんが原因で命を落とすことはほとんどなく、体への負担が軽い治療で済みます。しかし、これまでの日本の子宮(頸)がん検診受診率は約25%と、米国の約80%、イギリスの約70%に比べて驚くほど低いのです。「いったいどんな検査なのか」「もし異常が見つかったらどうなるのか」「とにかく恥ずかしい」などがその理由だろうと思います。
 医療の現場から見ると、「もう少し早く見つかっていたら、治療してからの妊娠や出産が可能だったのに」「もっと負担の軽い治療で済んだのに」と残念に思うことがあります。

 子宮頸がん検診は、集団検診や市町村検診、人間ドックでも受けることができます。自治体によって費用や受けられる時期などに差はありますが、20歳以上の女性なら2年に1度は少額の自己負担で受けることができます。5年ごとには無料クーポン券も発行されています。ただし、おりものの増加や月経以外の出血のある方は、次の検診の時期がくるのを待たず、婦人科を受診して検査を受けられるのがいいでしょう。
 子宮頸部の細胞検査は、綿棒や検査用の器具でこすって集めた細胞を調べる「細胞診」という方法で行います。細胞を擦り取るときには軽い違和感がありますが、痛みはほとんどなく、ほんの数分で終了する検査です。

「異型上皮」は、がんではないが正常とも言い切れない

 細胞診の検査結果は、「正常」から「がん」までいくつかの段階に分けて判定されます。細胞の形態に異常があれば、がんでなくても精密検査が必要になることがあります。
 正常細胞ががんへと進んでいく場合には、がんになる前段階として「異型上皮」と呼ばれる状態があります。がんではないけれど、正常とも言い切れない状態のことです。異型上皮の程度によって、精密検査や治療を行うかどうかが分かれます。

 精密検査では入院は不要です。子宮頸部を拡大鏡で拡大して詳細に観察するコルポスコピー、病変が疑わしい部分の組織を少し採取して検査をする病理検査(生検)などが行われます。この病理検査の結果を見て今後のことが決まります。また、ヒトパピローマウイルスの有無を検出する検査を行うこともあります。
 このような検査によって、定期的に検査をして経過を見るだけでいいのか、どれくらいの間隔で検査をするといいのか、それとも積極的に治療を考えた方がいいのかを判断します。

 子宮頸がん検診は、子宮頸部に問題がないかどうかを広く調べて精密検査が必要かどうかを大まかに判断する検査です。もし精密検査が必要となってもがんではない場合もありますし、がんではなく異型上皮と判断されていた方からがんが見つかることもあります。
 精密検査が必要と言われたら、まずはその結果を元に必要な検査を積極的に受けて、今の自分の体の状態を知ることが大事です。

 精密検査の結果、定期的な経過観察(検査含む)だけでいい場合も多いのですが、もし悪化していくような状態でも、検査をきちんと受けることで、早期に発見できて軽い治療で乗り切ることができます。がんばって検査を受けて、その結果を生かしていきましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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