頭痛には3つのタイプがある-自分のタイプを見極めて適切な対処を

「片頭痛」と「緊張型頭痛」。女性に多い慢性頭痛の対処方法

タイプで異なる対処法。まず自分の頭痛のタイプを知ること。生活に支障をきたしているときは早めに受診

慢性頭痛には「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」の3つのタイプ

 日本では、およそ4000万人もの人が慢性頭痛に悩まされているといわれます。慢性頭痛とは、精密検査を受けてもはっきりした原因や異常が見つからないのに、くり返し起こる頭痛のことをいいます。命に別状はないものの、放置すれば生活の質(QOL)を低下させることにもなります。
 慢性頭痛は、大きく次の3つに分けられます。

【片頭痛】
 女性に多く、こめかみあたりが脈打つようにズキンズキンと痛むのが特徴。脳の血管が拡張して血流が増加し、神経を刺激することで起こる。女性ホルモンのエストロゲンの影響や遺伝的傾向があり、寝込んだり、吐き気やおう吐を伴うなど生活に支障をきたす人も多い。

【緊張型頭痛】
 男女ともに多くみられる、首や肩のこりを伴う頭痛。首、肩、背中の筋肉が緊張して血液循環が悪くなり、たまった疲労物質が神経を刺激して起こる。長時間のデスクワークや猫背など姿勢の悪さ、精神的なストレスなどが原因になる。

【群発頭痛】
 成人男性に多く見られ、1年に1~数回、激しい頭痛が約1カ月続いてぱたりと治まる。

 このうち緊張型頭痛は、ほかのタイプの頭痛に合併して現れることも少なくありません。

まず、自分の頭痛を見分けること

 さて「片頭痛」と「緊張型頭痛」、「群発頭痛」では、それぞれ対処の仕方が違います。間違った対処法では治らないどころか悪化させてしまうことが多いため、まず自分の頭痛のタイプをきちんと把握することがとても重要です。

 以下に3タイプの頭痛の主な特徴を挙げます。それぞれの特徴が多く当てはまるのが、あなたの頭痛のタイプと考えられます。

【片頭痛】
・こめかみを中心に、脈打つようにズキンズキンと痛む。
・いったん痛みが起こると数時間~3日ほど続く
・吐き気やおう吐を伴ったり、音や光、においに敏感になる
・頭を振ったり体を動かすと痛みがひどくなる
・痛みが出る前に、あくびが出る、キラキラするものが見えるなどの前ぶれ症状がある
・休日や飲酒時など緊張がほぐれたときに起こりやすい
・月に1~2回から多い人では週に1~2回の頻度で起こる
・母親も頭痛持ちのことが多い

【緊張型頭痛】
・頭全体または後頭部が重苦しい感じ、こめかみが締めつけられるような痛みが続く
・首や肩のこり、背中のはり、目の疲れなどに伴って起こる
・寒くて体が冷えるときなどに痛む
・入浴したり運動したりすると痛みが軽くなる
・緊張やストレス、疲労で悪化しやすく、休養やリラックスによってよくなる

【群発頭痛】
・片方の目の奥が激しく痛む
・1年に1~数回決まった時期にだけ起こり、一旦出ると約1カ月反復する。1日のなかでも起こる時間がだいたい決まっており、1~2時間の激しい痛みである
・痛みのあるほうの目が充血したり、涙や鼻水が出る

 自分の頭痛のタイプがわかったら、それぞれに適した対処法を実践していきましょう。ただし群発頭痛は日常生活の注意だけでは改善することはできないため、専門医の受診をすすめます。薬の服用や酸素吸入で症状を抑えることができます。

 また、これまで経験したことがないほど激しい頭痛だったり、症状がどんどんひどくなる、吐き気やめまい、高熱を伴うようなときは、直ちに病院に受診してください。くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍など、重大な病気が疑われることもあり、一刻も早い受診が必要です。

片頭痛は安静にして冷やし、緊張型頭痛は筋をほぐして温める

 それでは、女性に多い片頭痛と緊張型頭痛の対処法と予防についてみていきましょう。

【片頭痛】
・痛む部位に氷枕やアイスパックなどを当て、頭痛が治まるまで冷やす
・薄暗い静かな部屋で安静にする
・コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン飲料をとる(血管を収縮させる)
・頭痛の前ぶれなどで痛くなりそうだと思ったら早めに薬を飲む
・睡眠不足や寝すぎ、アルコ-ルやストレスからの解放時など、頭痛の誘因(人により異なる)に注意する

【緊張型頭痛】
・こまめに体操やストレッチをして肩や首の筋肉をほぐす
・入浴したり、蒸しタオルやホットパックを肩や首に当てて温める
・長時間同じ姿勢を続けない
・ストレスは早めに解消する

 どちらも軽いものなら、市販の頭痛薬で様子をみて問題ありませんが、痛みで家事や仕事に支障が出ている場合や、片頭痛と緊張型頭痛を合併している人などは、頭痛外来や神経内科を受診するほうがよいでしょう。

 片頭痛の場合、頻度が年とともに増えていき、毎日のように痛むようになることがあり、これを変容性片頭痛または慢性連日性頭痛といいます。これには、鎮痛薬の連用でかえって頭痛がひどくなる薬物乱用頭痛も含まれます。市販薬が効かなくなったり服用回数が増えてきたら、ひどくしてしまわないうちに専門医を受診しましょう。
 医療機関では、血管を収縮させる作用のあるトリプタン系製剤などが処方され、前ぶれか痛みが出始めたときに服用すると効果があります。

 緊張型頭痛では、原因が筋肉の緊張であれば筋弛緩薬などが有効ですが、精神的なものが原因の場合は心療内科などで薬を処方してもらうとよいでしょう。また、これまで述べてきた対処法や治療ではよくならない緊張型頭痛の中には、頸部ジストニー(痙性斜頸)と診断される、首から肩の特定の筋肉が異常に持続収縮している状態のことがあります。この頸部ジストニーの場合は、トリヘキシフェニジルなどの薬を服用したり、収縮している筋肉にボツリヌス毒素製剤を注射して緊張をゆるめることで、多くの場合効果がみられます。専門医に相談されるとよいでしょう。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
寺本 純先生


八重洲痛みの診療室
寺本神経内科クリニック
1975年名古屋大学医学部卒業後、名古屋大学医学部第一内科、国立武蔵療養所神経センター、奈良県立医大神経内科、名鉄病院神経内科を経て、96年名古屋市に寺本神経内科クリニック、2010年東京に八重洲痛みの診療室を開設、現在に至る。専門は神経内科。特に頭痛、めまいなどを得意とする。日本神経学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本内科学会認定医、国際頭痛学会会員。日本頭痛学会理事、日本疼痛学会評議員を務める。一般書に『こうして治す片頭痛』『こうして治す緊張型頭痛(近刊)』(ともに講談社)など多数。

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