女性の体調不良には漢方がおすすめ-PMSに効く漢方とは

漢方で月経異常や子宮、卵巣などの病気を予防しましょう。

漢方では、気・血・水が滞って病気になるといわれています。自分の体調をチェックしてみましょう。

その人の体質、症状で診断する

 漢方は、6世紀頃、中国医学が日本に伝えられ、それが日本で独自に発達した、伝統医学です。
 西洋医学では、臓器や組織の異常のある部分を見つけ、病名を決定し、治療を行います。ところが、漢方では、その人の体質や症状などから診断を下し、処方を決定します。ですから、病名は同じでも、処方が西洋医学と異なることがあるのです。

 女性の身体は、男性に比べて筋肉が少ないため、熱やエネルギーを作り出すことが苦手です。また、微妙な女性ホルモンバランスを保っているため、自律神経が狂いやすく、気温の変化や冷房、飲食物でも身体に影響が出てしまいます。このようなことから女性は血行不良になりやすく、冷え症や月経痛をはじめとするさまざまな体調不良がおきます。
 漢方では、体内のエネルギーのバランスが整った状態を「健康」と考えます。ですから、女性の抱える体調不良はエネルギーのバランスが崩れている状態ととらえ、バランスを取り戻せるようトータルで治療していきます。その際使われる漢方薬は、月経痛や冷え症といったひとつの症状を消し去るための薬ではなく、体調不良が起こらないよう体質改善するための薬といえるのです。
 漢方薬の原料は、薬草の茎や根、葉を乾燥させたものや、動物、鉱物など。一般には、漢方薬は副作用がないと思われがちですが、これは間違いです。薬である以上、体調になんらかの作用を及ぼします。素人判断で安易に利用せずに、必ず、医師や薬剤師の指示を受けるようにしましょう。

婦人科系疾患の原因になる「淤血(おけつ)」

 漢方では、人間の体内をめぐる「気・血・水」に着目します。「気」は全身をめぐるエネルギー。同時に、精神的なはたらきも意味しています。「血」は血液そのものや、その循環。そして「水」は血液以外の水分代謝のことを指します。これらの3要素が、順調に体内を循環している状態が、漢方で考える健康です。

 「気・血・水」のどれかが、異常を起こすと、体に不調が起こり、ひどくなると病気の症状が現われます。血液の流れが悪くなることを「淤血(おけつ)」と呼び、女性の場合は、婦人科系疾患の原因の一つになりやすいのです。

  「淤血」は、血液のとどこおりです。腹診で、へそのまわりや下腹部を手で押して、抵抗感やひびくような痛みがあるときは、淤血のサインです。
 淤血によって起こりやすい婦人科系の症状は、月経異常や卵巣炎、子宮内膜症など。それを改善するために、漢方ではどのような処方が行われるのでしょうか。

さまざまな漢方薬を知っておこう

 生理前に、イライラ、頭痛、むくみなどが起こる月経前緊張症は、淤血以外にも、気・血・水のバランスが乱れていることが多いのです。その原因は、主に冷えと考えられています。また、夏場に冷たい飲食物をとり過ぎたり、無理なダイエットで体温が低下した場合には、冷えによって無月経になることもあります。

 これらのケースでは、体力がある人には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を、体力がない人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を処方します。桂枝茯苓丸は、月経異常だけでなく、卵巣炎、卵管炎、子宮内膜症、更年期障害などにも効果があるといわれています。

 また、子宮筋腫のようなはれものやできものも、血流の異常が原因と考えられています。淤血を解消するために、桂枝茯苓丸や当帰芍薬散、加味逍遥散(かみしょうようさん)などが用いられます。また、骨盤内のうっ血に対しては、温経湯(うんけいとう)が効果を示すことがあります。

 さらに、漢方薬は精神状態の不調にも効き目を持っています。最近、うつ傾向の人が増えているようですが、漢方ではうつは「気」と「水」の流れが滞ることととらえます。体力のある人には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつばれいとう)、体力のない人には香蘇散(こうそさん)などを処方します。

 月経によってホルモンバランスが変化する、女性のからだは、不安定になりがち。体をトータルにとらえ、体液やエネルギーの循環をととのえる、漢方医学の知恵を参考にしたいものですね。

(「よくわかる女性のからだ事典」天野恵子監修、法研より)

【取材協力】
天野恵子


千葉県衛生研究所所長/千葉県立東金病院副院長
1942年生まれ。東京大学医学部卒業(医学博士・循環器内科専攻)。東京大学講師、 東京水産大学教授を経て、現在千葉県衛生研究所所長兼千葉県立東金病院副院 長。全国に展開されている女性外来の立役者。

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