女性の体の悩みには東洋医学がいい? 漢方や鍼灸で体質改善

冷え、むくみ、月経痛、肌あれなどに悩む人に朗報

女性の気になる症状には漢方薬、鍼灸、ツボマッサージが効果的

女性のこころと体にやさしい東洋医学

 女性の体は、ストレスや加齢、季節の変化などにより、ホルモンバランスが崩れやすく、とてもデリケート。だから冷え症、月経不順、月経痛のほか、自律神経の乱れからくる頭痛や肌あれ、動悸(どうき)、イライラ、不眠など、さまざまな症状に悩まされることが多いのです。

 このような、検査をしても異常がみられない女性特有の症状には、正しく用いれば副作用が少ない漢方薬や鍼灸(しんきゅう)などの東洋医学が有効といわれます。治療を続けることで「体の不調がいつの間にか取れて、あまりイライラしなくなった」という声をよく聞きます。それは、東洋医学には自然治癒力に働きかけ、こころと体の症状をまるごと改善していく効果があるからです。

あなたの「証(しょう)」に合わせて処方する漢方薬

 最近は多くの病院に、東洋医学科や漢方外来が開設されています。東洋医学では、「望(ぼう)診、聞(ぶん)診、問診、切診」の4つの診察法を行い、これらを総合してその人独自の体の状態をあらわす「証」を決めて診断の目安とします。
 望診とは顔色や表情、舌、態度、体型、髪質などを診る。聞診とは声の大きさや話し方、せきやたんの出方、呼吸音などを聞く。問診は自覚症状、病歴、食べ物の好み、日常生活などを質問し、切診は手を脈や腹部に当てて診る「脈診」と「腹診」を合わせた診断法です。

 ベーシックな方法には「実証」と「虚証」に分ける診察法があります。実証は抵抗力があり、しっかりした体格、皮膚、筋肉、腹部も緊張して、はりがあるタイプ。虚証は抵抗力が弱く、やせ型か水太りの体格で、皮膚があれやすく、筋肉、腹部ははりがなく、疲れやすい。その中間のタイプを「中間証」と呼びます。

 証が異なる場合は、症状が同じでも治療が違ってくることが少なくありません。たとえば体力があり、のぼせて便秘しがちな人が、月経不順、月経痛、めまいや肩こりに悩んでいる場合は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」が処方され、虚弱な体質の人で手足が冷えやすく、疲れやすいタイプでは、同じ症状でも「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が処方されるといった具合です。
 これが東洋医学の大きな特長(利点)で、今の症状だけでなく、病気をおこすに至った人生まで詳しく聞いて、その人に合った漢方薬や鍼灸が処方されます。東洋医学こそオーダーメイド医療といってよいでしょう。

気(き)、血(けつ)、水(すい)の循環をよくして全身のバランスを整える

 私たちの体に潜在している自然治癒力とか生命エネルギーを東洋医学では「気」といい、全身を巡り組織に栄養を与える「血」(現代で言う血液)と、それ以外の体液「水」の3つがバランスよく循環している状態を健康体と考えています。

 気の循環が滞ると元気をなくし、頭痛、動悸、不安感やイライラ感、便秘などの症状が出てきます。また、血の循環が滞った状態を「お血(けつ)」といい、月経異常や更年期症状、冷え症、肌あれなどをおこします。水が滞った「水毒」は、むくみ、多汗、めまい、口渇などをもたらします。
 東洋医学では、これらの滞りを解消し、全身のバランスを整えることで症状が解消されるように治療していきます。

ツボを刺激して気血の循環をよくする鍼灸

 気、血(鍼灸では水は血に含まれます)の滞りは、全身に巡らされた経絡(けいらく)というエネルギーの通り道にあるツボを適度に刺激することで解消されるといわれます。ツボに鍼をうち灸をすえる鍼灸治療は体内の循環をよくし、治癒力を高めて、さまざまな症状の改善に役立ってきました。

 鍼灸の最も得意とするのは痛みとこりの軽減で、腰痛や肩こりなどには即効性も期待できます。また、自律神経を安定させたり、血行をよくすることから、頭痛、肌あれ、冷え症や不眠などにも効果があり、最近では花粉症などのアレルギー疾患にも効果が認められています。婦人科では月経不順や月経困難症などのほか、逆児(さかご)の矯正にも鍼灸治療がよく行われています。

 鍼灸は、信頼できる専門家に相談するのが安心です。家庭で手軽にできるという点では、ツボマッサージも効果的。全身にあるたくさんのツボを覚えるのは大変ですが、足の裏や手には全身のツボと連動したツボがあります。手と足を、あるいはどちらかでも、まんべんなくもみ続けると、全身の気、血の循環がしだいにスムーズになっていきます。
 自分で心地よく感じられる強さで1回5~6分、毎日続けてみませんか。そのときゆっくり息を吐きながら腹式の呼吸法を合わせてみましょう。3か月以上続けているうちに「よく眠れるようになった」「肌のつやが違う」「疲れがすぐとれるようになった」「食事がおいしく感じられる」など、健康感が実感できるでしょう。

【監修】
石野 尚吾先生


香雲堂石野医院院長・昭和大学医学部第一生理学客員教授
1966年昭和大学医学部卒業。日本医科大学産婦人科教室医局長、昭和大学医学部第三内科研修、北里研究所東洋医学総合研究所診療部門長(2008年3月まで)などを経て、2000年昭和大学医学部第一生理学客員教授、現在に至る。学生時代から東洋医学を学び、日本医科大学産婦人科教室在局中より鍼灸、漢方治療を行い、鍼麻酔による手術や分娩を行う。87~2003年まで東洋鍼灸専門学校校長を務める。医学博士。(社)日本東洋医学会指導医・専門医、日本産婦人科学会専門医。(社)日本東洋医学会会長。

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