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働く女性の応援団 4
育児・介護休業法とさまざまな保育施設について知っておこう
育児・介護休業法の改正で正社員には充実した内容に。子どもが病気のときは、企業内で補い合う工夫も必要。
【執筆】
荒木 葉子先生
東京医科歯科大学女性研究者支援室特任教授
荒木労働衛生コンサルタント事務所所長
母子手帳のチェックを忘れずに!
『働く女性の応援団』も今回で4回目。第一話が妊娠出産期の心構え、第二話が復帰前の準備、第三話が予防接種のお話でした(『働く女性の応援団 1』、『働く女性の応援団 2』、『働く女性の応援団 3』)。
予防接種の話は、本題から少し離れていたと感じられた方もおいでだったと思いますが、新型(A/N1H1)インフルエンザの流行や、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイスル)ワクチンが認可されたことなど、2009年にとっては大事なテーマでした。ご自分の母子手帳をチェックしていただけましたか?
小さなお子さんが新型(A/N1H1)インフルエンザにかかると重症化しやすいといわれていますので、子育て中のお母さんには心配です。また、保育所閉鎖や学級閉鎖になるので、とくに仕事をもつお母さんにとって、仕事を何日も休めない場合は、どこにお子さんを預ければよいか、悩む方も多いでしょう。
今回は、平成21年に改正された「育児・介護休業法」と、保育(一般保育と病児・病後児保育)についてのお話をしましょう。
父母二人が取れば、1年2カ月の育児休業を取ることができる

育児・介護休業法は、平成17年と平成21年に改正されています。
平成17年の改正では、一定の範囲の「期間労働者」も育児休業を取得できる、また、保育所に入所できなかったりした場合に1歳6カ月まで取得できる、と改正されたのが画期的でした。一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)のいずれにも該当する労働者です。
(1)同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
(2)子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
というものです。以前に比べて前進したものの、いわゆる非正規雇用者にとっては、厳しい内容であることがわかります。
平成21年7月に改正公布された内容は、3歳までの子を養育している労働者に対し、短時間勤務制度(1日6時間)を設けることが事業主の義務になり、また上記の労働者が希望すれば時間外労働が免除されます。病気やけがをした子どもの世話をするための看護休暇は、改正前は労働者1人について年5日でしたが、今度からは、就学前の子ども1人ならば5日、2人以上なら10日取ることができます。
父親の育児休業取得を促すため、父母両者が育児休業を取れば、合計1年2カ月の育児休業を取ることができるようになりました。配偶者の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、再度育児休業を取ることができます。また、こうした法律を守らない企業に対して法的措置が明記されました。
平成21年の改正は、正社員の方にとっては、かなり充実したものになってきましたし、男性も女性も育児にかかわるのが当たり前、という雰囲気になってきたのはよいことです。ですが、正社員が短時間勤務、時間外労働免除となった場合、残りの労働を誰が担うのか考えた場合、非正規社員に負担がかかるのではないか、という危惧もあります。正規・非正規労働者の格差是正が、今後の課題と思われます。
復職後の子どもの預け先を考えよう。病児保育のチェックも忘れずに

育児休業中に(できればもっと早い妊娠中に)調べて、準備しておく大切なこととして、復職後の子どもの預け先があります。働くお母さんにとって、最も一般的な預け先は保育園。待機児童数が年々増加し、狭き門になりつつあります。
保育園には大きく分けて、認可保育園と認可外保育園があります。認可保育園は、一定の基準をクリアしているもので、国や自治体からの運営費の補助があり恵まれているところが多いのですが、倍率も高く、入るのが大変です。公立と私立があり、設備や人手などはどちらも一定の基準をクリアしているので大きな差はなく、保育料も同じ自治体内であれば算定法は同じです。しかし、保育内容は園の個性が表れやすく、とくに私立のほうが差が大きい傾向があります。
認可外保育園にはいろいろな形態があります。東京都では独自基準で認証保育所を設けています。事業所内保育園は、事業主が従業員のために設ける保育園です。病院には院内保育園もあります。ベビーホテルは、24時間や一時預かりをしてくれる施設ですが、施設により差が激しいです。
認可保育園は役所窓口、それ以外は、その施設に直接申し込みます。認可保育園は、居住者のほうが優先される傾向にあります。認可外保育園は、居住とは関係なく受け付けてくれるようです。最近は育児休業明けの1歳児保育がどこも足りないようです。
どうしても保育施設が見つからなかった場合は、保育ママ、ファミリーサポートセンター、ベビーシッターなどがあります。保育ママは、各自治体(市区町村)が定める基準を満たした方をエントリーしてあり、希望者に紹介する制度です。ファミリーサポートセンターは、地域で子育てや介護の援助を受けたい人、行いたい人が会員になって助け合う会員組織です。
保育ママもファミリーサポートセンターも、人数が十分でなく、時間の制限などもあって、なかなか自分の希望に合う方を探すのは難しいようですが、あきらめずにチャレンジしてください。
ベビーシッターの利用については補助が得られる場合もあります。(財)こども未来財団の運営する「ベビーシッター育児支援事業」と協定を結んだ企業では、「ベビーシッター育児支援割引券」を社員に発行しています。自分の会社の制度を確認してみましょう。
やっと保育施設が決まってほっとしたのもつかの間、保育園から「お熱があるからお迎えにきてください。」といわれたときは「ええっ!どうすればいいの!」とパニック状態になりますね。仕事はあるし、お迎えには1時間もかかるし、親に頼むにしても簡単にはいかず……。
病児保育は、お子さんが病気の際に預かってくれる保育です。が、インフルエンザなどの場合は対象外になっていることが多いようです。隔離室と保育室があること、看護師さんと保育士さんがいることが原則です。病児保育は、病院併設、乳児院併設、保育園併設などの形態がありますが、数は十分ではありません。事前登録をしておき、病気になったときにスムーズに保育できるようにしているところが多いです。(病気の回復期に預かってくれる病後児保育もあります。)
派遣型病児保育は、自宅で病児保育をしてくれるので、病気の子どもには負担が少ない方法です。ただし、サービスを受けられる区域はまだ限られており、会員制度になっていて、利用しなくても会費が生じる場合もありますが、万が一の場合に備え、ご自宅の近くにどのような病児保育があるかチェックしておきましょう。
また、子どもが病気のときくらい、そばにいてあげたい、という気持ちもありますね。育児・介護休業法で、看護休暇が5日取れることになっています。日ごろから、自分の仕事を整理し、万が一の場合、代わってもらえるようにしておくことも大事です。企業によっては、いくつかの仕事を複数の方が担当し、互いに補い合うことができるように工夫しているようです。ママ・パパ社員が増えてきたら、こうした企業内での工夫も提案していきましょう。
(編集・制作 (株)法研)
【執筆】
荒木 葉子先生
東京医科歯科大学女性研究者支援室特任教授
荒木労働衛生コンサルタント事務所所長
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。
2009年11月17日
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