女性の4割が90歳まで生きる? 年代別健康チェック&予防接種一覧

女性が90歳まで生きる時代に必要なのは、まずは健康

Women’s Health 2010で見た、女性の健康予防への米国の国家的取り組みを紹介します

あなたは何歳まで生きるでしょうか?

 平成20年の生命表を見てみると、女性の場合、40歳まで生きる人の割合は98.7%、65歳までは93.4%です。では、75歳まで、あるいは90歳まで生きられるのは何パーセントでしょうか。答は、75歳まで86.0%、90歳まで44.8%です。ちなみに男性で90歳まで生きられるのは21.1%にすぎません。女性の半数近くが90歳まで生きる時代に突入しているのだと思うと、ちょっと驚きますね。
 本人が望む望まないにかかわらず、90歳近くまで生きるなら、そのときまでなんとか日常生活をやっていけるだけの健康が必要になります。

 女性の健康は男性とどこが異なり、研究、臨床、教育はどのように行われるべきか……、米国では、国家的取り組みとして1990年から活動が始まっています

Women’s Health 2010 に参加して

 今年3月26日から米国ワシントンDCで行われていた「Women’s Health 2010」に参加してきました。Women’s Healthという国際会議は、米国女医会とVirginia Commonwealth University(VCU)Institute of Women’s Health(バージニア・コモンウエルス大学、女性の健康センター)が共催し、毎年行われています。Women's Health 2010 は26日から29日までの4日間開催され、生活習慣病、たばこ、がん、不妊、暴力などさまざまな領域の講義がわかりやすく、かつ楽しく行われました。4日間で、女性の健康に関する情報の概要がつかめるので非常に効率がよく、早朝からのヨガ教室や栄養バランスのよい食事など健康に配慮されており、何よりも、初めて会う女性たちとの賑やかなおしゃべりが楽しい会議となりました。

 米国では、1991年にUS Department of Health and Human Services(米国保健福祉省)の中に、女性に特化した部門が作られました。Office of Women’s Health(OWH)(http://womenshealth.gov/)です。また、1996年以降、主要な医科大学に女性の医療に特化した臨床、教育、研究、一般の方への啓発活動を行うことを目的としてNational Centers of Excellence in Women's Health(国立女性健康研究拠点センター)が設置されました。VCUは2003年からこの一員になっています。
 Women’s Health 2010にもOWHがブースを出しており、とてもよい健康情報資料を展示していました。こうした健康情報資料は国が作成しており、中立的な姿勢で、国民の健康統計に基づき、正しい医学的情報を提供しています。

 OWHが作成した「The Healthy Woman :A complete Guide for All Ages」は約500ページ、総カラーの本で、大きな字、読みやすい表現、魅力的な写真やイラストでできていました。心臓疾患、脳卒中、がん、糖尿病、自己免疫疾患、血液疾患、性感染症、HIV/AIDS、産婦人科疾患、妊娠、母乳、メンタルヘルス、暴力、泌尿器疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、口腔保健、皮膚や毛髪、栄養、運動、痛み、代替医療など広範囲な内容でした。

 同じくOWH作成の「A Life time of Good Health」は、女性がそれぞれの年代で行うべき健康チェックや予防接種について書かれています。一覧すると次のようになります。

 このほか、家族歴や既往歴がある人(ハイリスク者)には、推奨される健診や予防接種が細かく記載されています。

 日本の予防施策と比べて、どのように感じられますか? 予防接種や生殖器関係の予防が日本より重視されている気がしますね。また、個人のリスクに応じて行う、という柔軟性があるようにも感じます。

本当に必要な予防とは何かを考え、実践を

 国によって、かかりやすい疾患も異なりますので、それに合わせて健診の内容も異なる可能性はあります。健診・検診(がん検診はこちらの字を使うことが多いです)は、行うことによってメリットがあること(病気を確実に予防できる)、受けることによる損害が最小限であることが必要です。本当に必要な予防とは何か……を考えることは大事です。

 日本では、会社員などが入社時や毎年受ける健康診断は、主として労働安全衛生法という法律によって定められ、行う内容も決められています。健診内容には心電図検査、胸のレントゲン検査、検尿などが入っており、米国の基準とはかなり違っています。危険業務についていない人に対して、法律に基いて健診を行っている国は日本以外にはほとんどありません。
 また、自営業の人や働いていない人は、地域での健診や、配偶者の健康保険組合が行っている健診を受けることができます。会社に勤めていたときは毎年、半ば強制的に健診を受けていたのに、仕事を辞めた後は、前回の健診がいつだったか覚えていない……などという人もいるでしょう。職場の健康診断がある人もない人も、自分の健康を守るために、自ら進んで健診を受けるようにしたいものです。

 次号からは、それぞれの年代で大切な予防について書いていきます。一緒に考え、そして実践していきましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
荒木 葉子先生


東京医科歯科大学女性研究者支援室特任教授
荒木労働衛生コンサルタント事務所所長
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。

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