確実な避妊法を知っていますか?

自分の未来のためにも、正しい避妊の知識を持って

意外に知られていない確実な避妊法。「絶対妊娠しては困る」状況なのに不確実な避妊法に頼っている人が多い

40~50歳代も、実は中絶の割合が高い

 あなたは正しい避妊法を知っていますか? 年間100万人の赤ちゃんが生まれている一方で、約20万件の中絶が行われています。中絶の絶対数は20~30歳代の女性が多いのですが、中絶の割合で見ると若者だけではなく、40~50歳代も中絶率が高くなっています。また、どの世代であってもコンドームが破れた結果の中絶が結構多くなっています。コンドームの避妊効果は不確実であることがあまり認識されていないようです。
 生理があって、セックスをすれば、常に妊娠の可能性があることを忘れてはいけません。大人の妊娠は、10代の早すぎる妊娠とは抱える課題が異なります。子どもの教育費のこと、女性自身のキャリア形成などといったそれぞれの事情もありますから、正しい避妊の知識を持つことは大事です。

中絶に至る事情は世代ごとにさまざまだが……

 中絶に至る事情はさまざまですが、世代ごとに多くみられる例を以下にあげてみます。

●妊娠する可能性を全く考えていなかった20代
 厳しい就職戦争を勝ち抜いて4月から新入社員として働くことになっているのに、卒業直前の妊娠発覚。避妊は基礎体温法と外出し(腟外射精)で行っていて、今まで妊娠したことはなかった。中絶は絶対に嫌だが、入社してすぐに産休というわけにもいかない。確実な避妊法を知らなかったことを悔いて涙を流す。

●念願の仕事が始動する矢先に妊娠した独身女性30代
 がんばってきた甲斐あって、ようやく重要なプロジェクトの一員になれた。苦労して立ち上げたプロジェクトが始動するという矢先に妊娠。避妊のために必ずコンドームを使っていたが、途中で破れてしまった。コンドームは1年間で3%が妊娠することのある避妊法で、もし妊娠したら産んでもいいと考えている人向けの方法であることは知らなかった。仕事では隅から隅まで漏れがないように考えていたのに、こんな不確実な避妊法に頼っていたことを知って自責の念に駆られている。

●子育て卒業と思いきや、予期せぬ妊娠に戸惑う主婦40代
 20歳代に3人の子どもを出産し育ててきた。その後は、外出しのみによる避妊で失敗したことはなかった。更年期も近くなってきたし、セックスの回数も減ったから妊娠するはずはないと思いこんでいた。なのに、久しぶりにたった1回セックスしただけなのに妊娠してしまった。いい年をした大人が今さら中絶なんてと思うが、もうすぐ子どもは大学受験で、勉強できる静かな環境を与えたいし、経済的にも大変な時期に赤ちゃんを育てることは考えられない。まして、年老いてきた両親の世話もあって精神的にも余裕がない。不用意なセックスをしたことを後悔するばかり。

どの程度妊娠を避けたいのかによって違う避妊法

 避妊法を選ぶときまず考えなくてはいけないこと、それはどの程度まで妊娠を避けたいのかということです。絶対に妊娠したくないのか、もし妊娠してしまったら産むつもりでいるのか、現在の自分の許容範囲をまず考えましょう。絶対に妊娠したくないなら確実な方法を選ぶ必要があります。妊娠したらそれでもかまわないときの避妊法とは違うのです。
 中絶する人を見ていて残念に思うのは、「絶対に妊娠しては困る」状況なのに不確実な避妊法(コンドームや腟外射精など)に頼っている人が多いことです。仕事や買い物のときには詳しく調べてから行動している人達が、避妊に対してはあまり調べもせずに不確実な方法を繰り返して妊娠してしまっています。セックスは身近なことなのに、妊娠や避妊に関しては学校教育で必修とは言えない状況だし、親もちゃんと教育できないからでしょうか。しかし、命に直結することですから、しっかりとした知識を付けてもらいたいですね。

【各種避妊法の理想的な使用による失敗率】( )内は一般的な使用の場合
・低用量ピル …………………0.1% (5%)
・薬物添加IUS(ミレーナ) ……0.1% (0.1%)
・コンドーム ……………………3% (14%)
・オギノ式(基礎体温法)………1~9% (25%)
・緊急避妊ピル(ノルレボ) ……3%
・避妊せず(妊娠希望) ………85%

 ※使用開始後1年間のデータ
 ※一般的な使用とは、例えばピルの飲み忘れや、コンドームを射精後すぐに抜かず腟内に抜け落ちた場合などを含む。
 (低用量経口避妊薬の医師向け情報提供資料より作成)

 以下に、妊娠を避けたいレベルごとにおすすめしたい避妊法をあげます。絶対に妊娠したくない人は、現代の技術を使って安心できるセックスをしましょう。

・最強レベル:絶対に妊娠したくない人へ
→「低用量ピル」または「薬物添加IUS(商品名:ミレーナ)」(+コンドーム)

 低用量ピルを毎日飲んでいれば、99.9%妊娠しません(毎月2,000~3,000円程度、ただし初診時8,000円程度)。ピルは生理痛を劇的に軽くし、生理不順もなくなるので働く女性にすすめられます。ただし同時に性感染症予防としてコンドームを使うことが大事です(ほかの避妊法でも同じ)。
 既に出産経験のある人であれば、薬物添加IUS(薬を塗った小さな器具)を子宮内に置いておく(産婦人科外来で挿入)ことにより妊娠を防ぐ方法もあります(1回3万円程度、5年間有効=ひと月あたり500円:2014年に、約3分の1に安くなりました!)。こちらは、1回挿入すれば毎日薬を飲む必要もないため、忙しい人に向いています。なお、出産してない人でも挿入できないわけではありません。

・中程度レベル:もし妊娠してしまったら産んでもよいと思っている人へ
→「コンドーム+基礎体温法(+緊急避妊ピル)」

 コンドームは破れたり抜けたりすることがあり、また基礎体温法では排卵がたまたまずれたり精子が長く生きていたりすることもあります。より可能性を下げるためには二つを併用したほうがより安心ですが、それでも少し不確実です。この避妊法では1年間に2~3%程度の人が妊娠する可能性があるので、もし妊娠してしまったら産むつもりの人でないとおすすめできません。パートナーがいて、そのうち子どもが欲しいなあ、避妊はしているけど赤ちゃんができたらできたでうれしいなあ、と思っているくらいの人におすすめです。
 もしも排卵日前後にコンドームが破れてしまったときは、72時間以内に緊急避妊ピル(商品名:ノルレボ錠)を飲めば妊娠の確率を下げることができます(1回2万円程度)。ただし、夜中に病院に来るのは避けてください。72時間以内なら効果がありますから、厳しい勤務でがんばっている産婦人科医を寝かせてあげてください。また、もし1回でも緊急避妊ピルを飲む事態になったなら、次回からは低用量ピルやミレーナを考えたほうがいいですね。

・気休めレベル:あまり避妊するつもりのない人
→「腟外射精(外出し)」

 避妊した「つもり」になりたい人ならこれもありかも。射精前にも精子は少し漏れていますし、射精直前で抜いても妊娠することはよくあります。それまで妊娠しなかったのは、たまたま運がよかっただけです。ほかに有効な方法のある現代日本では避妊法とは言いがたい失敗率の高い方法です。まあ、女性ならこのような「避妊」しかしてくれない男とは別れたほうがよいでしょう。あなたの体や心を気遣っているとは思えません。また、性感染症をうつされる可能性も高いですね。他の女性もそのように扱っていたのでしょうから。

 女性にとって妊娠出産は大きな出来事です。自分で自分の未来を決めていくためにも、自分が主体となった避妊法を選びましょう。妊娠の不安のないセックスなら、心から楽しむこともできるでしょう。何より自分で選択した結果の妊娠であれば、喜びをもって新しい命を迎えることができるでしょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


慈桜会 瀬戸病院産婦人科
北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、2009年北里大学医学部公衆衛生学助教に。2012年瀬戸病院産婦人科勤務、現在に至る。平成21年度厚労科研費補助金「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中や授乳中の人へ」パンフレット作成委員。日本医師会認定産業医、日本産科婦人科学会専門医。

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