ジェネリック医薬品ってなに? 正しく理解して医療費を節約しよう

先発医薬品と同じ成分・同等の効きめで価格が安い

同じ有効成分で安いから医療費の節約になる。処方せんの様式を根本的に改めて、国も普及に本腰

特許期限切れの新薬と同じ有効成分

 「ジェネリック医薬品」という言葉を、どこかで聞いたことがありませんか。テレビではたびたび、有名タレントによるコマーシャルが流されているので、「あっ、それ知ってる!」とピンとくる人も少なくないでしょう。

 ジェネリック医薬品は、医師が処方する医療用医薬品のうち、「先発医薬品」に対して「後発医薬品」とも呼ばれています。先発医薬品とは、多くの費用と時間をかけて製薬会社が開発した医薬品で、特許の出願によって20~25年の独占的な販売権が開発した製薬会社に与えられます。ただし、この特許期間を過ぎたあとは、同じ有効成分を使ってほかの製薬会社も同等の医薬品を作ることができることになっています。こうして作られた医薬品なので、先発医薬品に対して後発医薬品(ジェネリック医薬品)と呼ばれるのです。

 ジェネリック医薬品がいま注目されているのは、その価格の安さからです。先発医薬品のような開発費用がかからないので、先発医薬品の2~7割という低い価格で販売することができます。

 日本の医療においては、以前ほど「薬漬け」という言葉は使われなくなりましたが、それでも医療費のなかに占める薬代が軽視できない割合であることは否定できません。現在の国民医療費およそ33兆円のうち、国民医薬品費は約7兆円近くにもなります。そこで厚生労働省は、膨大な医療費を抑える一つの手段として、ジェネリック医薬品に着目したのです。

処方せん様式の再変更でいっそうの普及促す

 ジェネリック医薬品を普及させるため同省は、平成18年4月から、病院や医院など医療機関で出す処方せんの様式を変更し、「後発医薬品への変更可」という欄を設けました。患者が希望し、医師が認めてこの欄に署名すれば、処方欄に先発医薬品の名前が書いてあっても、薬局では患者の同意を得て同じ有効成分のジェネリック医薬品に替えることができるようにしたのです。

 しかし、このような施策を講じても、実際にはジェネリック医薬品の普及は同省が期待したほどには進みませんでした。同省の調査では、実際にジェネリック医薬品に変更された処方せんは、全体のわずか1%程度にとどまっていたのです。そこで同省は今年4月の診療報酬改定で更なる変更策を打ち出しました。今回は、処方せんそのものを基本的にジェネリック医薬品に「変更してよい」様式にし、「変更しない」場合に医師が署名する形にしたのです。こうしてこの4月からは、「変更不可」の欄に医師の署名がない限り、薬局では患者との話し合いに基づいて先発医薬品をジェネリック医薬品に替えることができます。

 ところで、現在医師が処方するすべての医薬品に対してジェネリック医薬品があるわけではありません。特許期限の切れていない薬には当然ないですし、最近明らかになった病気に対する薬もジェネリック医薬品のないものがあります。したがって、自分が服用する薬にジェネリック医薬品があるかどうかを知るには、医師に尋ねるか日本ジェネリック医薬品学会のホームページ(http://www.ge-academy.org/index.html)などで検索してみることです。

切り替えた後の体調変化に注意を

 先発医薬品とジェネリック医薬品では、有効成分は一緒ですが製造工程や添加物などが異なるので、まったく同一の医薬品というわけではありません。このため厚労省の承認の範囲の中ですが、先発品とは効果のあらわれ方や時間に多少違いが出てくる場合があります。そこで、先発品からジェネリック医薬品に替えた場合には、そのあと薬の利き方に変化がないかどうか注意する必要があります。
 また、もしもこれまでと違う変化や副作用、例えばかゆみや発疹などがあらわれたら、迷わず処方した医師に相談してください。その変化が、ジェネリック医薬品に切り替えたために起こったことなのかどうかを知るために、いくつかの薬を常用している人は、一度に複数の薬をジェネリック医薬品に切り替えないことです。ただこの注意はジェネリック医薬品に切り替えたときばかりでなく、一般に薬を変える時には行うべき注意といえます。

 こうしてみると、ジェネリック医薬品のメリットは価格にしかないように思われるかもしれませんが、そうではありません。例えば、先発医薬品では大きかった錠剤を小さくするとか、飲みやすいように糖衣錠やシロップにするなど工夫を加えているものがあります。また、先発医薬品であらわれていた副作用は、それをもたらした物質を使わないことで防ぐことができます。

 ジェネリック医薬品への変更ができる場合、変更するかどうかを最終的に決めるのは患者自身です。自分の体質・体調や薬の効果なども考え合わせて判断するために、ふだんから気軽に相談できる“かかりつけ薬剤師”を、自宅や医療機関の近くに探しておくとよいでしょう。

【監修】
武藤 正樹先生


国際医療福祉大学三田病院副院長・同大学大学院教授
1974年新潟大学医学部卒業、78年同大学大学院医科研究科終了、86~88年ニューヨーク州立大学家庭医療学科留学。厚生省関東信越地方医務局指導課長、国立療養所村松病院副院長、国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長、国立長野病院副院長などを経て、06年より現職。国際医療福祉総合研究所長などを兼務。最近の主な一般向け著書に『ジェネリック医薬品がわかる本』(法研)、『よくわかる病院の仕事のしくみ』(ぱる出版)、『ササッとわかるジェネリック医薬品』(講談社)などがある。

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