薬の正しい飲み方知ってる? 3つのQ%Aで確認|くすり教育スタート

生涯を通じた健康の自己管理能力を育むために

病気やけがへの備えとして、子どものころからくすりの知識を持ち、くすりとの付き合い方を学んでほしい

学校でくすり教育がスタート

 小・中学校の新しい学習指導要領が、文部科学省により公示されました。注目すべき改定ポイントの1つは、中学校の「保健・体育」の項に、くすりの正しい使用教育が盛り込まれたことです。これは、生涯を通じて健康の自己管理能力や改善能力を育てることを目標にした教育の一環で、中学校では、今後平成23年までを周知・移行措置期間とし、24年に全面施行となります。この項は、学校の判断で先行実施できることになっています。

 子どもたちへのくすり教育の必要性を訴え、10年ほども前から小・中・高校で、くすり教育を実践してきた加藤哲太先生(東京薬科大学薬学部教授)は、「理想的には、体や健康について興味を示し出す小学生からくすり教育を始めることが望ましく、中学生や高校生を対象にしたときは、その理解力に応じたレベルと内容に置き換えて、繰り返し教えることが大切」といいます。

 また、「子どもへのくすり教育は、くすりの知識教育ではなく、子どもたちがくすりとの付き合い方を学ぶための機会を与えることです。とくに小学生へのくすり教育の重要な目的は、くすりの作用・副作用に気づかせること」ともいいます。くすりを使用したときは、自分の体や気分の変化に注意を払い、効果があらわれた場合あるいは何だか変だと思った場合は、そのことをすぐに周りの大人に知らせることを習慣づける、つまり、自分で感じ、自ら知らせる習慣づくりがくすりとの正しい付き合い方の始まりです。

大人なら、くすりの正しい使用法を知っている?

 では、大人のあなたはくすりの正しい使用法をどれくらい知っていますか? いくつか質問してみましょう。

Q1 くすりは、なぜコップ1杯の水またはぬるま湯で飲むのでしょうか?

A くすり(とくにカプセル)は水なしで飲むと、食道の壁にくっつくことがあり、そのまま溶け出すと、食道に炎症がおこる恐れがあります。くすりを胃まできちんと送り出すためにコップ1杯の水またはぬるま湯が必要なのです。
また、ジュースや牛乳などといった、水やぬるま湯以外の飲み物と一緒に飲むと、相互作用して、くすりの働きを弱めたり、強くしすぎたりすることがあるのでご注意ください。

Q2 決められた量を決められたタイミングに飲むのはなぜ?

A くすりを飲んだ後、吸収された成分は血液中に入ります。くすりの効果があらわれるには、血液中に適切な量(有効濃度)の成分が確保されることが必要です。これをくすりの血中濃度といいます。血中濃度が高すぎると副作用が出やすくなり、低すぎると効果があらわれません。ですから、くすりは決められた量を守ることが大事なのです。
 また、くすりの血中濃度は時間がたつとともに低下します。有効濃度の範囲を下回らないうちに、次のくすりを飲む、この繰り返しで、有効濃度が保たれます。1日に2回や3回と決められているのは、そのためです。くすりの効果を最も発揮するために、くすりの量や飲むタイムングは、きちんと守りましょう。

 ちなみに、飲むタイミングの表現は、以下のような意味です。
・「食前」とは、食事をする30分から1時間くらい前にあたります。
・「食後」とは、食事が終わった後、30分以内にあたります。
・「食間」とは、食事と食事の間で、前回の食事から2から3時間後にあたります。食事の最中に飲むという意味ではありません。
・「就寝前」とは、寝る30分から1時間前にあたります。

Q3 くすりと一緒に飲食してはいけないものがあることを知っていますか?

A たとえば、抗生物質と牛乳の組み合わせです。牛乳に含まれるカルシウムが抗生物質と結合して、一部の抗生物質の効果が弱まることがあります。
 また、血圧降下薬(カルシウム拮抗薬)とグレープフルーツやそのジュースの組み合わせです。グレープフルーツに含まれる成分が血圧降下薬の体内での分解を抑制して、濃度が高いまま血液中に入るためくすりが効きすぎて、血圧が下がりすぎてしまい、頭痛、動悸(どうき)、めまいなどがおこることがあります。
 くすりと飲食物には、このような相互作用があるものがあります。薬剤師の説明を受け、正しく使用しましょう。

子どもと一緒に大人も学べるテキスト

 国民が健康の大切さを理解し、くすりを正しく使用するための知識と判断力を持つために情報提供を行っている「くすりの適正使用協議会」では、小・中・高校生に対して一貫したくすり教育が行われることを目的に、学校薬剤師、保健または保健・体育の担当者、養護教諭など向けにくすり教育の教材を開発しました。
 「小学生用」と「中・高校生・一般用」の2種類があり、くすりの正しい使い方、くすりの効き方、くすりを飲むときの注意や副作用、飲食物との相互作用など、幅広く解説しています。
 この教材は一般の誰もが、ホームページから参照することができます。ご自分で確認したいとき、家族でくすりについての会話を持ちたいときなどにも活用できます。
*くすりの適正使用協議会が運営する「くすり教育担当者のための教材サイト」http://www.rad-are.com/

 「こういった情報を活用するとともに、健康やくすりについて、気軽に相談できる<かかりつけ薬剤師>を持つことも、生涯を通じた健康の自己管理に大切です」と加藤先生。
 また、「そもそも病気やけがをした場合、私たちには自分で治す力<自然治癒力>が備わっています。くすりは自然治癒力を助け、早く健康状態を回復するための補助的なもの。健康な毎日を過ごすためには、適度な運動、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠を心がけて、自然治癒力を高めておくことが健康づくりの基盤であることを子どもにも大人にも訴えていきたい」と加えました。

【取材協力】
加藤 哲太先生


東京薬科大学薬学部教授
同大学薬学教育推進センター長
1970年岐阜薬科大学卒。薬学博士。神奈川県公害センター勤務後、72年東京薬科大学に着任、現職に至る。専門は衛生化学(食品衛生、環境衛生)。セルフメディケーション推進協議会理事、くすりの適正使用協議会・児童くすり教育専門委員会委員、日本学校保健会・医薬品の使い方に関する指導方法検討委員会委員ほか兼務。主な著書に『知っておきたい「くすりの正しい使い方」自分の健康は自分で守ろう』ほか。

その他のZoomヘルスケア

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

牛乳と一緒にきな粉ダイエットに挑戦!

きな粉
今回ご紹介するきな粉ダイエットは、牛乳や投入にきな粉を入れて飲むだけの簡単でお手軽なダイエット方法です。!きな粉には脂肪を燃やしてくれるサポニンや、美白をもたらしてくれるイソフラボンが多く含まれています。きな粉の原材料である大豆... 続きを読む

中顔でもっとも形を変化させられる《眉》

~ビューティー・ルネッサンスを迎えるために~ザビエル鈴木のやせて魅せるワザ メークのファイナルアンサー《眉》
梅雨空は、傘を持つのがいやな小生としてはうっとうしい限りです。手荷物が増えると美しさが... 続きを読む

「ひもしばり」でQ脚やX脚を解消

港南台駅前治療院院長
奥村耕二 先生 PROFILE:ひもしばりなどの「磯谷式力学療法」をとり入れた腰痛治療法、股関節矯正法を行うかたわら、雑誌やテレビでも活躍。耳ツボダイエット法などでも成果を上げる。著書に『... 続きを読む

マインドフルネス

うつ病や不安症の原因ともなるストレス。「マインドフルネス」は、このストレスを発散させ、心の健康を取り戻す心理療法のひとつです。
1979年に精神科医のジョン・カバットジン氏が考案。アメリカの大学で、ストレス低減プログラムとして治療に取り... 続きを読む

ひどい生理痛は病気のサインかも? 放置してはいけない女性の病気

月経痛(生理痛)は誰にでもあるもの、そう思っていませんか?
違うんです。動けなくなる、痛み止めが効かない、学校を休んでしまう、そのような痛みは異常です。
30年ほど前までは、生理痛に対して痛み止め以外の方法はなく、「早く子どもを産みな... 続きを読む

きなこダイエットは牛乳と合わせて効果を増大

きなこ
きなこダイエットは、1日1回だけきなこ牛乳を飲むことによって、代謝効率と脂肪燃焼を図ることを目指します。きなこにはサポニンという成分が含まれており、この成分が運動をした時に脂肪燃焼効果を与えてくれるのです。
注意しなければなら... 続きを読む

小学生のとき実行していた「恋のおまじない」ランキング

消しゴムに相手の名前を書いて使い切る 好きな人の写真を枕の下に入れる 花びらを、好き、嫌いと言いながら取っていき、好きで終わった花びらを保存しておく ... 続きを読む

バーンアウト-ある日突然、意欲がなくなる|燃え尽き症候群

バーンアウト(burnout)はストレスと並んで、読者も耳にしたことが多い言葉であると思います。ここでは事例を通して、バーンアウトを具体的に考えてみましょう。システムエンジニアのAさん(32歳)の1日は次のような感じで過ぎます。早朝に目が... 続きを読む

学校の先輩への憧れの告白シチュエーションランキング

第2ボタンをもらう 夏祭りや花火大会で 帰り道に待ち伏せして 放課後に教室でふたりきりになって 校門で待ち伏せして ... 続きを読む

乳がん予防には定期的な運動がカギ-週1の運動でも効果あり

9月の「がん征圧月間」に続いて、10月は乳がん月間です。そして10月13日は体育の日。そこで、「運動と乳がんの発生リスク」について調べた研究報告がありますので紹介しましょう。
女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がんです。年齢別では3... 続きを読む