知っておきたい内定承諾書のもつ効力 内定辞退ってできるの?!

内定承諾書の法的効力はアリ?ナシ?

 結論から先にお話しすると、内定承諾書には法的な拘束力は「なし」ということになります。
 ですので、内定を受けた側から企業側へ内定の解除を申し出ることは法的に問題はありません。
 絶対に入社しなくてはいけないものではなく、また、辞退に対して罰則をうけることはないということです。
 
 「内定承諾書」はあくまで「内々定」とでも言うべき段階のもので、いわば「内定の約束」という立場にすぎません。
 労働基準法によってこのような段階で企業が罰則を設けることはできないのです。
 これは日本国憲法第22条「職業選択の自由」にもあたり、
 たとえ内定が出てからでも他社に行くことを選択するのは「職業選択の自由」の範囲内となるとも考えられます。
 また、民法によってもこのような事態は「労働契約の解約」とみなされ、意思表示した日より2週間でその解約は成立すると定めています。

落とし穴もあるので注意も必要!

 しかし、内定承諾書の提出後に実際に損害賠償を求められる可能性が全くゼロかといえばそうではありません。
 労働基準法第16条で定めている『使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、 又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない』
 という法律が意味するところの解釈のしかたに注意が必要のようです。
 ここで労働基準法が禁じているのは「もし辞退した場合は○○万円支払ってもらいますよ」といったように
 辞退することに対してあらかじめ違約金を定めたり、損害賠償の予定があることを約束させることであって、
 その人が辞退したことで実際問題として生じてしまった損害については賠償請求することも可能だということです。
 たとえば、入社に向けてすでに準備が進められていた物品や、本社研修など交通費のかかるような予定がすでに進められていた場合などが当てはまります。
 多くの企業は、不本意ながらも多少の内定辞退者を想定していると言われていますので、
 このような賠償を請求されるケースは稀と考えてもいいかもしれませんが、
 入社の意志がない場合には、一刻でも早く、誠意をもって辞退を伝えることが何より大切です。

内定を辞退することの意味と影響はしっかりと理解する

 内定承諾書は、企業側が自分たちにとって欲しい人材を確保するための手段とも言われています。
 しかし、それは誰でもいいから確保しているわけではなく、
 その企業に必要とされる素質を備えていたという「信頼」のもとに出た内定であるということを忘れてはいけません。
 法的な拘束力は無いにしても、人として辞退という行為を決して軽々しく考えてはいけないということです。
 企業は辞退した人の代わりを再び採用する必要がでてきます。
 また、辞退する側も理由はどうであれ罪悪感を感じるものです。
 このように、内定辞退によって互いに生じる影響が少なからず存在することはしっかり理解することが大切です。
 担当者によっては、叱責やいやみの言葉を投げかける場合もあるかもしれません。
 そうだとしても、一度自分に向けられた信頼を崩すときには、誠意をもって心からお詫びをする必要があるでしょう。
 もちろん、メールで済ますのではなく、採用担当者に直接伝えられる電話で連絡をとりましょう。
 ただし、万が一納得のいかない不当な賠償を請求された場合には、専門家や警察に相談するなどしましょう。
 焦って承諾してしまったあとに他社を選びたくなってしまったケースや、内定後に出た条件や待遇があらかじめ聞いていたものと違っていたケースなど、
 内定辞退にはいろいろなケースがあることでしょうが、辞退する本人にも少なからず精神的なストレスやダメージ、罪悪感がともなうものです。
 法的には問題ないとしても、内定辞退にはそのような面があることも理解しておく必要がありそうです。