小児のメタボリックシンドロームとはどんな病気か

 肥満のうち、とくに腹部肥満(内臓周囲の脂肪〈内臓脂肪〉の蓄積)に伴い、代謝(たいしゃ)や血圧などの異常を示す症候群を、メタボリックシンドロームと呼びます。メタボリックシンドロームは動脈硬化の進行と関連することから、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳血管障害などの発症予防の面からも、注目されています。小児のメタボリックシンドロームは、成人の生活習慣病につながってゆくので、とくに重要です。
 診断基準のひとつとして、腹囲があり、その数値で内臓脂肪の蓄積を評価します。日本人の小児(6〜15歳)では、腹囲80cm以上を内臓脂肪の蓄積と判定しています。小学生などでは腹囲が身長の2分の1以上である場合も、内臓脂肪の蓄積と判定されます。
 これに加え、脂質(中性脂肪120mgdl以上、HDLコレステロール40mgdl未満)、血圧(12570mmHg以上)、空腹時血糖100mgdl以上のうち、2項目が該当すると、小児のメタボリックシンドロームと判定されます。

原因は何か

 基本的な病因は肥満です。肥満は遺伝的素因と生活習慣により、進行します。
 近年の肥満の増加には、とくに食事や運動などの生活様式の変化が関与していると考えられています。具体的には、脂肪や糖の過剰摂取、朝食抜きや夜更かしと夜食、ゲームやTV視聴時間の長さ、交通機関の発達による歩行の機会の減少などがあげられます。
 また、ストレス管理も重要になります。最近は、妊娠中(胎児の間)に、著しい低栄養状態にあると、成人期にメタボリックシンドロームになる率が高まるとの統計が、報告されています。

症状の現れ方

 初期には、腹囲の増加が中心的症状です。肥満の程度は軽度から重度までさまざまです。進行すると、糖尿病高血圧の症状が出現するようになります。

治療の方法と予防

 すでにメタボリックシンドロームと診断された場合には、食事および運動療法による減量と腹囲の減少が必要です。
 運動が中心的な治療法となり、歩行、水泳、各種のスポーツなどを1日30分は行うようになります。食事療法に関しては、自宅では病院のような厳密な低エネルギー食はなかなか継続しにくく、誤った食事療法は栄養不足などをもたらすこともあります。したがって、家庭では不適切な食事の修正を心がけます。過剰な間食、夜食、脂肪、糖、ジュースなどの摂りすぎ、朝食抜きなどをまずチェックすることです。
 メタボリックシンドロームの治療には、数カ月から1年程度の期間を必要とします。このため、小児では予防が重要になります。腹囲や体重の値と身長を定期的に測り、診断基準と比較します。そして、バランスを考えた食事をとる、偏食をなくす、スポーツに親しむことを習慣にできれば、小児期のみならず一生の健康設計に役立ちます。