分娩麻痺<運動器系の病気(外傷を含む)>の症状の現れ方

 腕神経叢は上肢の運動と知覚を司る神経の束で、第5・第6・第7・第8頸神経と第1胸神経の5本の太い神経から構成されています。5本の神経は複雑に交通し、ひとかたまりとなって鎖骨の下を通過して最終的に個々の末梢神経に分岐して終わります(図1)。
 分娩麻痺の症状は、この腕神経叢のどの部分がどの程度損傷を受けたかで異なり、大きく分けて上位型麻痺(まひ)、全型麻痺、下位型麻痺の3つの型があります(表1)。
 麻痺は出生時が最も重度で、その後回復していくのが普通です。およそ10人に9人は、数日から数週間かかって最終的に完全に回復しますが、重度の麻痺を残す場合もあります。生後1カ月の時点で完全に回復していなければ、その後回復が続いたとしても、何らかの後遺症を残すと考えなければなりません。

分娩麻痺<運動器系の病気(外傷を含む)>の診断と治療の方法

 患肢を愛護的に扱う必要がありますが、厳密な固定は不要です。生後3〜4週目からは関節拘縮(こうしゅく)(関節が硬くなること)を予防するリハビリテーションを開始します。
 自然回復がみられないか、みられても不十分な重症例に対しては、生後3ないし6カ月の時点で神経修復手術を行います。その後も麻痺があればリハビリテーションを継続します。
 機能回復不良例に対しては就学前ごろに関節形成手術や筋腱移行手術を行うこともあります。
 関節拘縮は機能回復を妨げるため、リハビリテーションでよくならない場合は関節解離手術をすみやかに行います。