脳変性疾患とはどんな病気か

 出生時までに一度できあがった脳や脊髄(せきずい)の一部が、時間とともにその形や組織の変性(壊れること)を来す病気を指します。その障害部位により、大脳白質変性症(だいのうはくしつへんせいしょう)、灰白質(かいはくしつ)変性症、基底核(きていかく)変性症、脊髄小脳(せきずいしょうのう)変性症などに大きく分けられることがあります。

原因は何か

 脳変性疾患とは、脳の変性を起こすいろいろな病気の総称で単一の疾患ではありません。多くは原因不明の遺伝性と思われる疾患ですが、なかには代謝異常や遺伝子レベルでの異常から原因がわかってきたものもあります。

症状の現れ方

 病気によって異なりますが、多くは今まで可能だったことが次第にできなくなってくる(たとえば、歩行ができなくなる、言葉が出なくなる、視力が急に落ちる、音に対する反応が鈍(にぶ)くなる、尿や便をもらすようになるなど)ことを主症状としますが、単に運動や言葉の発達が止まる場合もあります。そのほかに、運動の異常(ふらつくようになる、手足の動きがぎこちなくなる、けいれん発作が現れる)、感覚の異常(感覚が鈍くなる)、コミュニケーションの異常(視線が合わなくなる、うとうとしている)などがあります。

検査と診断

 症状が出るまでの経過がとても重要です。家族、親戚に同様の症状をもった人がいるかどうか、母子手帳記録(妊娠中の様子、分娩の経過など)、これまでの心と体の発達の状況についてなどが確認されます。さらに体の診察、心理発達検査を基本としてどの部位が損なわれているかを診断し、必要に応じて血液・尿検査、脳波、頭部CT・MRI、脳脊髄液検査などが行われます。診断はすべての情報を総合して行われますが、大変特殊な病気なので、専門の医療機関での診断を受けることをすすめます。

治療の方法

 現在の医学では変性を完全に止めることは難しく、特異的な治療法については多くは研究中の段階にあります。
 したがって治療は(病気によって異なりますが)、変性が進行するのを少しでも抑えるために、多くは、(1)薬物療法、(2)理学療法が行われます。(1)は変性の原因になる物質があればその除去、不足している物質があればその補充などです。(2)は変性による身体機能の障害の進行を防ぐためのもので、主にリハビリテーション部門において、精神と運動発達の援助や日常生活におけるアドバイスなどが行われます。

脳変性疾患に気づいたらどうする

 まずは小児科、小児神経科の外来を受診し、本当に変性疾患が疑わしいかどうか判断してもらいます。その際、診断には特殊な検査や知識を必要とするので、小児神経科、神経内科のある専門の医療機関での診断を受けることをすすめます。また診断後も心と体の発達に関する適切な援助、日常生活のサポートを受けられる医療機関を選択することも大切です。
 同じ疾患をもった患者ご家族の会が多く活動されており、具体的な情報を得る参考になることがあります。

関連項目

 てんかん知的障害