精神遅滞とはどんな病気か

 精神遅滞は、知的機能が全般的に平均よりも低く、環境に適応することが困難な状態を示す言葉です。日常生活において何らかの援助や介助が必要となります。

原因は何か

 多くは原因不明です。原因として想定されているものは以下に示すようにさまざまです。感染症(髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎など)、頭部外傷、代謝異常症、染色体(せんしょくたい)異常、出生前要因(子宮内胎児発育遅延(しきゅうないたいじはついくちえん)、母体のアルコール摂取など)などがあります。

症状の現れ方

 一般に、重度の精神遅滞の子どもは首のすわりが遅い、座ることができないなど、運動の発達が遅いことで乳児期に気づかれます。
 一方、軽度から中等度の精神遅滞の場合には、初めの数年間は正常な発達をしているようにみえ、バイバイをしないことや言葉が出ないことなど、言語や社会性の発達の遅れで気づかれます。
 全般的な知能が低いために、日常生活や社会生活に支障を来し、身のまわりのこと(食事、衣服の着脱、トイレでの排便、排尿)が一人でうまくできない、同じ年齢の子どもと遊ばない、といった症状がみられます。小学校に入って、集団生活に適応できないために問題行動が目立ち、初めて精神遅滞に気づかれることもあります。

検査と診断

 まず、発達の遅れがあるかどうか、成長障害や身体的な病気の有無も含めて小児科医の診察を受ける必要があります。発達の遅れがあると判断される場合には、知的水準を測る方法として知能検査や行動観察が行われます。これらの検査は、発達の遅れている点を明らかにするだけでなく、子どもの優れた能力を見いだすことにもなります。
 専門医であっても、一度の診察や検査で長期的な発達の予測をすることは困難です。時間をあけて診察し、発達の経過も併せて判断することが必要です。合併する身体の病気が予想される場合には、必要な検査を定期的に行うことがあります。たとえば、てんかんの合併が考えられる場合には脳波検査を行います。

治療の方法

 治療の中心は教育と訓練です。身体機能訓練、言語訓練、作業療法、心理カウンセリングなどを開始し、現実的で達成可能な目標を定め、教育・訓練を行うことにより、子どものもつ発達の可能性を最大限に発揮させることができます。
 心理的な問題に対しては、カウンセリングや環境の調整を行います。十分に行き届いた指導やサポートのためには、個別や少人数集団の、特別な教育環境が必要になります。
 長期的には、身のまわりのことが一人でできるようになること、将来の職業につながるような技能を身につけることが目標となります。
 合併する身体疾患(てんかんなど)や行動の問題(自傷行為(じしょうこうい)など)に対しては、症状を改善させる目的で薬物療法を行うことがあります。

精神遅滞に気づいたらどうする

 精神遅滞の子どもの抱える問題点は、年齢や発達段階によって変化します。大切なことは、年齢や発達の段階によって直面するハンディキャップを理解し、子どもの能力に見合った訓練方法や教育手段を選ぶことです。
 小児科医、発達相談、地域の発達支援プログラムなどを利用して情報を得るとよいでしょう。