細気管支炎とはどんな病気か

 ウイルス感染による細気管支を中心とした下気道の炎症性疾患です。呼気性喘鳴(こきせいぜんめい)(息を吐く時に聞かれるゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、呼吸困難が特徴的です。冬期を中心に1歳未満の乳幼児に起こり、とくに6カ月未満の乳児に発症率のピークがあります。
 また、6カ月未満の乳児や早産児、先天性疾患、慢性肺疾患、免疫不全状態(めんえきふぜんじょうたい)の乳児では重症化しやすい疾患です。

原因は何か

 下気道へのウイルス感染です。細気管支炎の50%以上はRSウイルスにより起こり、その他にはヒトメタニューモウイルスによっても起こります。ウイルスが感染することにより、浮腫(ふしゅ)や滲出液(しんしゅつえき)、粘膜・細胞性残渣蓄積(ざんさちくせき)、さらにウイルスの浸潤による細気管支の部分的な閉塞が起こります。気道が閉塞すると、閉塞した先は無気肺(むきはい)となります。
 気管内の空気は、細くなるほど流れにくくなるので、細気管支が肥厚して細くなると気流抵抗が増大します。加えて、管の内径は呼気のほうがより小さくなるため肺から空気が出にくくなり、細気管支より末梢の部分に空気を閉じこめるようになり、肺は過膨張(かぼうちょう)となります。
 これらのことから、無気肺と肺の過膨張は混在するようになり、正常なガス交換が損なわれ、症状が進行した場合には血中酸素濃度が減少し、低酸素血症を来します。

症状の現れ方

 初期は鼻汁、くしゃみなどの上気道炎症状を示します。発熱も認めますが、無熱のこともあります。続いて多呼吸、頻脈(ひんみゃく)、激しい咳(せき)込みを伴う呼吸困難が起こってきます。
 乳児では、咳や呼吸困難が出現した後、最初の48〜72時間で急速に呼吸困難が進行することがあります。呼吸困難の進行により、口のまわりのチアノーゼ(皮膚が紫色になる)や、肋骨下や肋間、胸骨上部で呼吸時に陥没する陥没呼吸(かんぼつこきゅう)が認められたり、呼気性喘鳴が聞かれるようになります。
 年少乳児では、呼気性喘鳴などの症状を認めず、無呼吸が初発症状の場合もあります。
 重症例では、多呼吸、不穏、意識障害、無呼吸発作などが認められます。通常は、数日で急速に改善しますが、呼吸管理を要する場合もあります。

検査と診断

 2歳未満の小児で、初めての喘鳴を示した場合には、細気管支炎や喘息が疑われます。胸部聴診では喘鳴、呼気延長(こきえんちょう)、しばしば小水泡音(しょうすいほうおん)が聞かれます。胸部X線写真では過膨張(かぼうちょう)した肺、横隔膜(おうかくまく)の下降、著しい肺門陰影を認めます。
 喘鳴を示す疾患として、喘息との区別が重要ですが、過去に喘鳴を示したことがある場合や、本人を含めた家族内にアレルギー性疾患がある場合は、細気管支炎よりも喘息を疑うことになります。
 RSウイルス感染の診断には、鼻腔ぬぐい液や吸引液を用いた迅速抗原測定キットが有用です。RSウイルス感染が証明された場合は、喘息よりも細気管支炎が強く疑われます。

治療の方法

 呼吸困難や脱水がある場合には入院加療が必要になります。細気管支炎はウイルス感染症であり、細菌による二次感染を起こすことが少ないことから、抗生剤は必要ありません。基本的には全身状態の管理を中心とした対症療法を行うことになります。
 治療としては、気管支拡張薬の吸入や、低酸素血症を示している場合には加湿および酸素投与がなされます。ステロイド薬の効果については定まっていません。吸入療法については、エピネフリンがβ(ベータ)刺激薬より有効と思われるという報告もあります。低酸素血症や二酸化炭素貯留が進行している場合には、人工呼吸器管理が行われます。