大動脈縮窄とはどんな病気か

 大動脈は心臓から全身に血液を送る大血管です。大動脈はまず、頭側に向かい(上行大動脈)、次に弓を描くように180度曲がり(大動脈弓)、この部位で、頭や両腕に血液を送る分枝を出した後、下半身に向かっていきます(下行大動脈)。大動脈弓より先の大動脈の一部が狭くなり(狭窄(きょうさく))、さまざまな症状を認める病気が大動脈縮窄です。心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)を合併することが多くあります。


 大動脈縮窄のみの場合を単純型、心室中隔欠損を合併する場合を複雑型と呼ぶこともあります(図9)。複雑型はより重症で、早急な治療が必要です。

症状の現れ方

 狭窄が強く重症の場合、内臓や足へ流れる血液は大動脈からだけでは不十分で、肺動脈から動脈管を通って流れます。動脈管は、生後数時間から数日で自然に閉じられる血管です。このため動脈管が閉鎖すると内臓や足への血液が足りず、ショック状態となり命の危険にさらされます。尿が出ない、足が冷たい、呼吸が荒くぐったりするなどの症状が現れます。
 狭窄の程度が軽い場合には、動脈管が閉じられてもショック状態にはならずにすむこともあります。しかし狭窄のために血液は手や頭に多く流れ、足には少なくなります。乳児期にミルクの飲みが悪い、体重の増えが悪い、といった症状で気づかれることがあります。
 軽症の場合では症状を認めないこともあり、心雑音や高血圧から気づかれることもあります。

検査と診断

 X線検査、心臓超音波検査、心電図検査を行います。診断を確定させるために、以前は腕の動脈から造影剤を注入し、X線撮影する逆行性造影が行われていましたが、最近では、造影を静脈注射したうえで、CT検査をして診断を確定することができるようになってきました。

治療の方法

 ショック状態で気づかれた場合は、救命処置、集中治療を行いつつ、診断を行います。プロスタグランジンを投与し、動脈管を開かせ下半身への血流を再開、維持します。手術が可能な状態になるまでに回復するのを待って、早急に手術することが多いです。
 ショック状態になる前に診断され、動脈管が必要な場合、プロスタグランジンを使用し動脈管を維持しつつ、準備が整い次第手術を行います。軽症であっても血圧が高い場合は、治療後も下がらないこともあり、早めの手術が望ましいと考えられます。
 手術の方法や時期は手術前の状態、狭窄の程度や位置、心室中隔欠損をはじめとする合併症などに応じて選択されます。単純型の場合、カテーテル治療(バルーンカテーテルによる拡大術)が試みられることもあります。

大動脈縮窄に気づいたらどうする

 前述のショック状態と思われる場合は、ためらわず救急車を呼ぶことが必要です。気になることがあれば、早めに近隣の小児科を受診します。診断、治療後は主治医の指示を受けてください。