大動脈弁狭窄とはどんな病気か

 大動脈弁が狭いことにより、左心室から大動脈への血液の流れが障害されて左心室に負担がかかります。左心室の心筋は厚くなり、重症になると左心房圧も上がり肺うっ血を来したり、左室の収縮する力が低下することもあります。


 大動脈弁は通常3つの弁尖(べんせん)で構成されていますが、生まれつきひとつであったり、2つであったり、3つあるものの弁交連(弁と弁の間)がくっついていることなどがその原因になります(図10)。

症状の現れ方

 軽症の場合は無症状です。検診の際に心雑音で気づかれます。中等症以上では心不全症状が認められます。
 新生児期の場合はミルクの飲みが悪い、多呼吸、汗が多いといった症状がみられ、乳児期ではさらに体重の増えが悪いことがあります。幼児期では疲れやすい、息切れ、動悸(どうき)がするといった症状が認められます。学童期から成人では胸痛、失神、不整脈に加え、突然死する場合もあります。

検査と診断

 胸部X線、心電図、心臓超音波検査を行い診断します。手術を検討しなければならない場合は、心臓カテーテル検査が行われることが多いです。

治療の方法

 軽症の場合は、経過をみることもありますが、基本的に手術が治療の中心になります。新生児期の重症例では手術が困難で、カテーテル治療が選択されることがありますが、カテーテル治療も負担となることがあり、再び狭くなったり、大動脈弁閉鎖不全(へいさふぜん)を起こすことがあります。
 手術でくっついている弁交連を切開する方法(弁形成術)もあります。カテーテル治療や弁形成術だけで、手術が一生不要となることは少なく、最終的には人工弁に置き換える手術が選択されます。人工弁に置き換えた場合には、血栓症(けっせんしょう)を防ぐため抗凝固薬を内服する必要があります。
 幼少時に人工弁の手術を行った場合、人工弁は成長しないので、体が大きくなると入れ替えが必要になり何度も手術が必要です。また抗凝固薬のなかには胎児に悪影響を与えるものもあるため、妊娠する可能性のある女性にも人工弁は使いにくいです。
 最近では、自分の肺動脈弁を大動脈弁に置き換える手術(ロス手術)が行われるようになってきました。これは抗凝固薬を服用する必要がなく、弁が成長する可能性があることが大きな利点です。しかし人工弁置換手術に比べ難しく、肺動脈弁が正常であることが必要です。

大動脈弁狭窄に気づいたらどうする

 前述の症状が認められる場合は、近隣の小児科を受診してください。軽症で症状がない場合でも、年齢とともに進行するおそれがあります。主治医の指示を受けてください。