後天性心疾患とは、おおまかにいうと形態的な心臓の奇形以外の心臓病、あるいは生まれたあとに発症してくる心臓病と考えてよいでしょう。
 子どもの後天性心疾患の特徴としては、大人の心臓病で圧倒的に多い虚血性(きょけつせい)心疾患が少なく、小児期に発症しやすい全身疾患の一徴候として発症することが多いことがあげられます。
 心臓は、全身の血液を循環させるポンプの機能を担う臓器ですが、負担なく十分な血液が送り出されるためには、(1)心臓の筋肉(心筋)に十分な収縮力があること、(2)収縮するためのエネルギー、酸素が冠動脈を通して心筋に十分供給されること、(3)逆流防止弁が機能し、血液の流れにむだがないこと、(4)収縮するための命令が適度につくられ、心筋に順次伝えられ、心筋全体が協調した収縮をすることが必要です。いずれかの機能が損なわれると、心臓全体に負担を与えることになり、心臓の機能低下、心不全につながります。
 心臓の筋肉の病気としては心筋炎心筋症、心臓の弁の機能の病気としては大動脈弁狭窄(きょうさく)、大動脈弁閉鎖不全(へいさふぜん)、僧帽弁(そうぼうべん)狭窄・閉鎖不全、冠動脈の疾患としては川崎病(かわさきびょう)心血管後遺症、脈の異常としては各種の不整脈などがあげられます。
 心臓の筋肉や弁、脈をつくり出し伝導させる機構(刺激伝導系)は再生能力のない組織で、脳細胞と同じように心筋細胞も一度ダメージを受けると再生されず、残された細胞で機能を補うしかありません。後天性心疾患は頻度は少ないものの、再生能力のない心臓に持続的な負担を与えるものが多く、子どもの長い将来に影響を与えるものも少なくありません。
 また、心臓が負担を抱えていても、生体には代償機構(本来のはたらきに代わって行うメカニズム)がはたらくため、症状を自覚する時期には病状が進行した状態であることがほとんどです。症状のない早期に発見し、治療していくことが大切です。