急速進行性糸球体腎炎症候群とはどんな病気か

 急速進行性糸球体腎炎は急性腎炎と同様な症状で発症後に、数カ月以内に末期腎不全まで進行してしまう予後不良な腎炎の総称です。

原因は何か

 原因はさまざまで、急性糸球体腎炎や各種慢性糸球体腎炎などの原発性(げんぱつせい)糸球体腎炎、血管炎(けっかんえん)や膠原病(こうげんびょう)、感染症に伴うもの、さらに薬剤によって発症することがあります。
 腎生検(じんせいけん)(腎臓の一部を針で採取して調べる)の蛍光抗体法によって、(1)抗糸球体基底膜抗体(こうしきゅうたいきていまくこうたい)型(糸球体基底膜に沿って線状の免疫(めんえき)グロブリン沈着がみられる)、(2)免疫複合体型(糸球体に免疫複合体の顆粒(かりゅう)状の沈着がみられる)、および(3)免疫グロブリンの沈着がみられず、血液検査で抗好中球(こうちゅうきゅう)細胞質抗体(ANCA)が陽性となるANCA関連腎炎に大別されます。
 抗糸球体基底膜抗体型では、糸球体の基底膜や肺に対する自己免疫抗体が糸球体や肺に沈着することによって、急速進行性糸球体腎炎と肺出血を伴うものがあり、グッドパスチャー症候群といわれます。
 免疫複合体型にはIgA腎症、紫斑(しはん)病性腎炎、膜性増殖性(まくせいぞうしょくせい)糸球体腎炎などの慢性糸球体腎炎や膠原病に合併した糸球体腎炎のほか、時に溶連菌(ようれんきん)感染後急性糸球体腎炎にも合併することがあります。
 ANCA関連腎炎は、全身性の血管炎に伴うことが多く、ウェゲナー肉芽腫(にくげしゅ)などの膠原病や感染症のほか、抗甲状腺薬などの薬剤によって発症することがあります。
 いずれの場合も、腎生検組織で糸球体に強い活動性を示す半月体(はんげつたい)が多数みられます。

症状の現れ方

 多くの場合、発症前後に発熱や倦怠感、食欲不振などの風邪症状がみられ、引き続き急性糸球体腎炎と同様の血尿、蛋白尿やむくみがみられます。紫斑病や膠原病に合併する場合には、原疾患の症状(紫斑や発疹など)がみられますし、グッドパスチャー症候群では肺に沈着した自己抗体よって肺炎、肺出血を起こす場合があります。多くの場合、腎炎を発症して数週〜数カ月で末期腎不全に進行します。

検査と診断

 尿検査では強い血尿や蛋白尿がみられます。腎機能が早くから低下している場合が多く、血液検査ではクレアチニン、尿素窒素(BUN)の上昇や電解質(カリウムなど)の異常がみられます。また、膠原病や血管炎に合併したものでは、炎症マーカー(CRP)の上昇や赤沈の亢進などがみられるほか、種々の膠原病マーカー(抗核抗体、抗DNA抗体など)、抗糸球体基底膜抗体、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、補体価、免疫グロブリンなどの検査値に異常がみられます。
 胸部X線やCT検査では、肺出血(グッドパスチャー症候群)や間質性肺炎(かんしつせいはいえん)(膠原病)などの所見がみられる場合があります。
 この病気が疑われる場合は、診断の確定や治療方針の決定のために腎生検が必要です。

治療の方法

 急速に進行する腎炎に対して、ステロイド薬のパルス療法や各種免疫抑制(めんえきよくせい)薬が用いられるほか、血液中の免疫物質を除くために血漿(けっしょう)交換を行う場合があります。腎不全により尿量が極端に減少し、強い浮腫(ふしゅ)(むくみ)や胸水、高血圧、カリウム上昇などがみられる場合には、透析治療が必要になる場合もあります。
 一般に予後が不良な場合が多いのですが、成人に比較して小児では治りやすいと考えられています。

急速進行性糸球体腎炎症候群に気づいたらどうする

 なるべく早く、小児の腎臓病専門医がいる病院を受診します。