停留精巣とはどんな病気か



 精巣(睾丸(こうがん))は女の子でいうと、卵巣に相当する器官です。この精巣は赤ちゃんがまだ母親のおなかにいる時、腎臓に近いところから次第に下降し、鼠径管(そけいかん)という下腹部のきまった道を通って陰嚢(いんのう)のなかに下降します。この精巣の下降が途中で止まったものが、停留精巣(停留睾丸)です(図22)。新生児の3〜4%(未熟児で生まれた子では30%)にみられ、めずらしい病気ではありません。

原因は何か

 精巣は胎児のうちに陰嚢のなかに降りてくるのが普通ですが、何らかの理由でその精巣が降りるのをサボってしまい、生まれた時にまだ陰嚢のなかに入っていないと、停留精巣ということになります。

症状の現れ方

 陰嚢のなかに精巣を触れない時は停留精巣の可能性があります。

検査と診断

 陰嚢のなかに精巣を触れない時は、鼠径部(そけいぶ)(ふとももの付け根の部分)にあるのかどうかをよく診察します。精巣を触れない時には、精巣がない病気(無精巣症(むせいそうしょう))と区別する必要があるため、MRI検査や腹腔鏡を使っておなかのなかに精巣があることを確認することがあります。同じ目的でホルモン検査(精巣を刺激するホルモンを注射して男性ホルモンの分泌能力をみる)を行う場合もあります。

治療の方法

 普段、陰嚢が空のようでもお風呂に入っている時、リラックスして座っている時などに精巣が陰嚢内に触れるような場合には移動性精巣と呼び、必ずしも手術は必要ありません。リラックスしている時でも陰嚢が空であれば停留精巣で、手術が必要になります。おなかのなかにある停留精巣を放置しておくと、成人になってからのがん化や不妊の原因になることもあるからです。
 手術の時期に関しては、遅くとも2歳までに手術をするのがよいとされています。

停留精巣に気づいたらどうする

 1歳までに75%の子ども(未熟児で生まれた子どもでは95%)で精巣が自然に下降するので、しばらくは経過を観察します。1歳の誕生日を過ぎても陰嚢がからっぽであれば、小児外科医(あるいは小児科医、泌尿器科医)に相談する必要があります。また移動性精巣と停留精巣の区別は難しいことも多く、正しい治療方針をたててもらいます。

関連項目

 陰嚢水腫外鼠径ヘルニア