野球肘とはどんな障害か



 野球肘とは、ボールを投げる動作が繰り返されることにより生じる肘関節周囲の故障です。一連の投球動作において、肘の内側(小指側)は引っ張られ、外側(親指側)は圧迫が加わり、肘の後ろにはボールリリースの際にぶつかる力が加わります。そのような力が繰り返し肘に加わり、故障が発生します(図31)。
 成長期では、軟骨(関節軟骨:関節部の表面の輪郭をなす軟らかい組織、成長軟骨帯:関節近くにある軟骨で骨が伸びる部位)が傷みやすいため、その部位に故障を生じます。内側では、上腕骨(じょうわんこつ)内側の成長軟骨帯の一部または全部が剥離(はくり)し、上腕骨外側には離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)が生じ、後方では肘頭(ちゅうとう)に疲労骨折が生じます。

症状の現れ方

 ボールを投げる際の肘の痛みが特徴的です。普通の生活には困ることはほとんどないのですが、関節ねずみ関節内遊離体)ができると、肘が動きにくくなったり、激痛が走ったりすることがあります。

検査と診断

 特徴的な痛みの部位やX線検査で診断は可能です。必要に応じて、MRI検査やCT検査を行うこともあります。

治療の方法

 手術による方法と手術によらない方法がありますが、手術が必要なものは少ないようです。ボールの投げすぎによる故障ですので、十分に治るまで投げることをやめ、肘や手関節周囲の筋力アップを行います。離断性骨軟骨炎や肘頭疲労骨折では、早期復帰目的で外科的治療を選択する場合もあります。治っても、“投げすぎにより生じた肘の故障”ということを念頭におき、投球数の制限やフォームの改良などの予防対策も極めて重要です。

障害に気づいたらどうする

 一口に「野球肘」といってもいろいろな病態があります。安易な自己診断はやめて、必ず整形外科専門医の診察を受け、X線検査などにより正確な診断をつけ、治療計画を立ててもらってください。診断や治療が手遅れになると肘の動きが悪くなって、一生障害が残る場合もありますので、十分注意してください。