鳩胸、漏斗胸とはどんな病気か

 前胸壁(ぜんきょうへき)(いわゆる胸板)が前方に突出し、あたかも鳩の前胸部を思わせるような胸郭(きょうかく)の変形を鳩胸といい、逆に前胸壁が陥没し、あたかも漏斗(ろうと)のような外観を示す変形を漏斗胸といいます。

原因は何か

 鳩胸は先天的に肋骨(ろっこつ)・肋軟骨(ろくなんこつ)が前方に過剰発育するためであり、漏斗胸は後方に過剰発育するためであるという説が一般的です。遺伝が関係している場合もあり、マルファン症候群くる病骨形成不全症などさまざまな病気の一症状として出現することがありますが、その一方でまったく遺伝的関係のない場合もあります。また、まれではありますが、鳩胸と漏斗胸を併発する場合(たとえば右側が鳩胸で左側が漏斗胸)もあります。

症状の現れ方

 外観上の変形以外に鳩胸では無症状のことが多いのですが、漏斗胸ではかぜ・気管支炎・喘息(ぜんそく)などの呼吸器障害を起こしやすかったり、心臓の圧迫による循環障害を起こす場合があります。しかし、それらの身体的症状よりもむしろ美容上の著しい変形を気にすることによる精神的苦悩のほうが問題になります。

検査と診断

 診断はその特異な胸郭の変形から容易ですが、胸骨の状態、心臓、肺への影響を調べるためにX線検査、CT検査、MRI検査、心電図検査などを行うことがあります。

治療の方法

 変形を矯正するためには手術を行うことになりますが、手術をするかしないかは身体的・機能的障害の程度、変形の程度、心理的・精神的障害の程度などを総合的に判断して主治医、患者さん本人、家族と相談のうえ、決定することになります。手術の時期は小学校低学年前後が最適とされています。
 鳩胸の手術法としては胸骨翻転術(きょうこつほんてんじゅつ)が、漏斗胸の手術法としては胸骨翻転術や胸骨挙上法(きょうこつきょじょうほう)があります。胸骨挙上法には骨・軟骨に骨切りを加えて持ち上げる方法と、金属プレートによって骨切りをすることなく胸骨を持ち上げる方法の2種類があります。いずれの方法も利点・欠点がありますが、最近では後者が一般的に行われるようになってきました。