大腿四頭筋拘縮症とはどんな病気か

 大腿四頭筋短縮症(たんしゅくしょう)ともいわれます。大腿四頭筋とは大腿(ふともも)の前面にあり、大腿直筋(だいたいちょくきん)・外側広筋(がいそくこうきん)・中間広筋・内側(ないそく)広筋の4つの筋からなる筋肉のことです。この病気はその筋が硬くなって本来の機能が損なわれ、種々の症状を来した状態をいいます。

原因は何か

 乳幼児期にふとももへ抗菌薬や解熱剤を筋肉注射したことが原因でこの病気を引き起こして大きな社会問題となりましたが、まれに、先天性と思われる例もあります。

症状の現れ方

 この病気は大腿直筋が障害される直筋型、大腿直筋と外側広筋が障害される混合型、中間広筋と外側広筋が障害される広筋型の3つのタイプに分けられます。
 タイプによって症状に違いがあり、直筋型では尻上がり現象がみられます。尻上がり現象とは、うつ伏せに寝て膝(ひざ)を曲げるとお尻が浮き上がる現象をいいます。直筋型の場合、正座は程度の差はありますが、可能です。混合型では尻上がり現象がみられ、正座もできません。広筋型では尻上がり現象はみられませんが、正座ができません。
 また、直筋型、混合型では脚を外側へ振り回しながら歩くぶんまわし歩行や出っ尻歩行、広筋型では膝を突っ張って歩く棒足歩行といった歩き方の異常がみられる場合があります。

検査と診断

 診断はふとももへ筋肉注射を受けたことがあって、そこに皮膚のくぼみや硬いしこりがあり、それに加えて前記のような症状があれば容易ですが、関節の状態を診るためにX線検査を行ったり、筋肉の状態を把握するためにMRI検査を行う場合があります。

治療の方法

 治療は、重症例に対して筋膜(きんまく)・靭帯(じんたい)・障害されている筋肉を切る筋切離術(きんせつりじゅつ)が整形外科医によって行われるのが一般的です。手術を行うことにより、尻上がり現象の程度が軽くなったり、正座ができるようになったり、歩き方がよくなったりすることが期待できますが、手術前の状態によってもその成績は異なり、症状が再発したり、再手術が必要になることがあります。また、筋肉を切るために術後に筋力が低下する場合があります。