進行性筋ジストロフィーとはどんな病気か

 筋肉の細胞が次第に壊れていく遺伝性の病気です。いくつかのタイプがありますが、小児期にいちばん多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーについて述べます。
 デュシェンヌ型は、幼児期に発症し次第に筋力低下と筋肉の萎縮(いしゅく)が進んでいき、車椅子生活から寝たきり状態となり、呼吸する筋肉にも障害が及び、最後には呼吸補助が必要になってくるといった経過をたどります。1987年に遺伝子異常が解明され、日本人研究者により2006年に樹立された新型万能細胞(iPS細胞)を使っての治療など、根本的な治療法の研究が盛んに進められているところです。

原因は何か

 筋細胞の膜には、収縮や弛緩(しかん)によって筋肉の細胞が壊れないようにしているジストロフィンという物質があります。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの場合、遺伝子異常があってジストロフィンが作られないために、筋細胞が壊れていきます。
 この遺伝子はジストロフィン遺伝子と呼ばれ、性染色体の上にあります。したがって男性では筋ジストロフィーとして発病しますが、女性は病気の原因はもっていても発病しない保因者となります。

症状の現れ方

 乳児期には明らかな症状はみられませんが、検査をするとすでに筋細胞が壊れている所見があります。3〜5歳になると、腰や大腿の筋力低下により、転びやすいとか走るのが遅いなどの症状が出てきます。床から立ち上がる時に、床に手をつきお尻を上げ、次に膝(ひざ)に手をついて自分の体をよじ登るようにして立ちます(ガワーズ徴候)。10歳前後で歩けなくなります。思春期以降になると呼吸筋も損なわれて呼吸不全となり、人工呼吸器を必要とします。
 なかには病気の進行が遅く、経過の良いベッカー型筋ジストロフィーと呼ばれる軽症のタイプがあります。

検査と診断

 血液検査で筋肉由来の酵素(CK、LDH、AST、アルドラーゼ)の値の上昇がみられます。
 確定診断は、筋生検(組織をとって調べる)でジストロフィン染色を行って筋細胞にジストロフィンがみられないことを証明することによってつけられます。あるいはジストロフィン遺伝子の異常から遺伝子診断することもできます。

治療の方法

 根本的な治療法についての研究が盛んになってはいますが、まだ臨床的に応用されるまでにはなっていません。現在のところ、障害の程度に合わせながら患者と家族の生活の質(QOL)をより良くすることが治療の目標になります。運動機能を維持し、進行を遅らせるためにリハビリテーションや装具の検討をします。呼吸障害や心臓の合併症が出てくれば、症状に合わせた治療が必要になります。
 また、保因者の診断や出生前の診断によって、次の世代のことについて遺伝カウンセリングの専門家と十分に相談することも必要です。

進行性筋ジストロフィーに気づいたらどうする

 突然変異での発病が約30%にみられるので、遺伝がはっきりしていなくても、運動ができなくなったとか筋肉が弱くてふにゃふにゃしているという時には、まず近くの小児科医に診てもらってください。