鉄欠乏性貧血とはどんな病気か

 血色素(けっしきそ)を作る原料のなかで、最も大切なものが鉄です。鉄欠乏は貧血を起こし、ひいては乳幼児における成長、発達の障害、年長児においては知的能力の低下にも関係するといわれています(貧血の一般的な事項については、「子どもの貧血」)。

原因は何か

 普通、私たちの1日の食事には30〜40mgの鉄が含まれています。鉄の吸収は小腸の上部で行われます。鉄欠乏が起こるのは、鉄摂取量の不足、吸収のまずさ、鉄の喪失、需要量の増大、もともとの貯蔵量の不足などの場合です。単独の原因で起こるよりも複合して発症することのほうが多いと考えられます。
 成長の加速する10〜15歳ころの学童にみられる思春期貧血が女子に多い理由は、月経による失血が加わるためです。過激なスポーツによるスポーツ貧血もこれに拍車をかけます。
 長期に大量の牛乳を飲み続けて起こるものを、牛乳貧血と呼びます。この原因は単純ではなく、牛乳だけで満腹になってしまうなどの食事の偏りと、牛乳アレルギーによる蛋白漏出性胃腸症(たんぱくろうしゅつせいいちょうしょう)のための鉄吸収不全が考えられます。これはむくみを伴います。

症状の現れ方

 乳幼児においては、顔色不良のほかに活気がなく不機嫌となり、だるそうで食欲がなくなります。学童期になると、動悸や息切れ、めまいを訴えます(子どもの貧血)。

検査と診断

 前記の症状のほかに、理学的には心雑音が聞かれます。検査では末梢血液像と血清鉄(けっせいてつ)値が決め手になります。
 小球性低色素性(しょうきゅうせいていしきそせい)貧血では、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球血色素量)、MCHC(平均赤血球血色素濃度)がすべて低くなります。網赤血球(もうせっけっきゅう)というできたての赤血球の数は正常か少し増加します。血清鉄が低下し(50ngdl以下)、不飽和鉄結合能と総鉄結合能は上昇します。血清フェリチンも低下します(12ngml以下)。

治療の方法

 元の病気が何であるかにまず注目し、その治療を心がけます。鉄欠乏性貧血の治療は鉄剤の投与です。使用開始後1週ほどで網赤血球が増加し、貧血が改善していきます。鉄剤の使用は貧血回復後も2〜4カ月続けます。食事の内容を点検し、その改善を図ります。
 タンニン酸を含むお茶やコーヒーは鉄の吸収を阻害するため、いっしょにとるのは避けたほうが無難です。ビタミンCは鉄の吸収を促進します。