溶血性尿毒症症候群とはどんな病気か

 溶血性尿毒症症候群は腎臓や脳などを侵す病気で、赤血球の破壊による貧血や、血小板という出血を防ぐ細胞の減少を引き起こしたり、急性腎不全(じんふぜん)になったりします。また脳に症状が現れて、けいれんや意識が損なわれることもあります。

原因は何か

 先天的な原因によるものもありますが、子どもの場合ほとんどが腸管出血性大腸菌O(オー)157:H7(以下、O157〈オーイチゴーナナと読む〉と略)によって汚染された食べ物を摂取することで発病します。O157はヒトの腸内でベロ毒素という毒素を放出し、これが血液中に入りさまざまな症状を引き起こします。
 1996年、大阪府堺市での5000人を超すO157感染の大流行は記憶に新しいところです。

症状の現れ方

 最初は胃腸炎症状(発熱、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など)で始まります。下痢便には血液が混じっている(血便)ことがほとんどです。毒素による脳の症状のため、刺激に過敏になり、重症の場合、けいれんを起こしたり、意識がなくなり死亡する場合もあります。また貧血のために疲労感を訴えたり、顔色が悪くなったりします。急性腎不全になるとおしっこの量が減ります。

検査と診断

 胃腸炎の段階では便の細菌検査をしてO157によるものかどうかを検査します。この菌の感染とわかったら、溶血性尿毒症症候群に進行していないかどうか、血液検査や尿検査で貧血や血小板の数、腎機能などを症状が落ち着くまで検査します。O157の感染から5〜10日後に、5%程度の子どもに溶血性尿毒症症候群が発症します。

治療の方法

 胃腸炎の段階では十分に水分を補給して、脱水状態にならないようにします。強い下痢止めは菌や毒素が体から排泄されるのを遅くする可能性があるため、使用しません。抗生剤の使用については意見が分かれています。強力に大腸菌を殺菌すると毒素の放出が促進される可能性があるからです。
 溶血性尿毒症症候群になった場合、2週間ほど入院して治療します。貧血の強い場合には輸血が、急性腎不全になった場合には一時的に人工透析(とうせき)が必要になります。以前は死亡率の高い病気でしたが、現在は95%以上の子どもは救命可能です。

溶血性尿毒症症候群に気づいたらどうする

 発熱とともに腹痛、下痢(とくに血便を伴うもの)、嘔吐がみられたら、小児科医を受診して便の細菌検査を受けてください。もしO157が検出されたら、完治するまでこまめに医師の診察を受けてください。また、溶血性尿毒症症候群が回復して退院した場合も、長期にわたって腎臓の障害が残ることがあるので、長期間の定期的診察を受けてください。
 O157は生焼けのひき肉や殺菌処理されていない牛乳やチーズ、あるいは汚染された水(井戸水など)によって感染するので、予防のためには十分な手洗いや食品の加熱を心がけてください。

関連項目

 細菌性下痢症