好中球機能異常症とはどんな病気か



 白血球の一種である好中球による食作用は、細菌や真菌が侵入した病巣へ好中球が遊走・付着し、貪食(どんしょく)(細胞内へ取り込む)、さらに細胞内での殺菌・消化という過程からなっています(図38)。好中球機能異常症は遊走能、貪食能、殺菌能の異常に大別されますが、実際にはこれらの機能の複数が損なわれていることも少なくありません。さまざまな疾患で好中球機能異常が認められますが、ここでは高免疫グロブリンE(IgE)症候群、白血球粘着不全症(はっけっきゅうねんちゃくふぜんしょう)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症を取りあげます。
(1)高IgE症候群
 乳児期からの慢性湿疹、易(い)感染性(感染しやすい)、血清IgEの高値を3主徴とします。インターフェロンγ(ガンマ)の産生不全を基本病態とし、食細胞が十分に活性化されないため好中球機能の異常や抗体産生の低下があり、易感染性が生じると考えられています。約半数で好中球の遊走能低下が認められ、黄色ブドウ球菌やカンジダ感染症を繰り返します。
(2)白血球粘着不全症
 白血球が感染局所の血管内皮細胞と付着するためには、白血球膜上にβ(ベータ)2インテグリンという接着分子が必要とされますが、これが先天的に欠損あるいは減少する疾患です。好中球の粘着能と走化能が低下し、易感染性を示します。出生時からの難治性細菌感染症、持続性の歯肉炎、末梢血中の好中球の異常な高値が特徴的です。
(3)ミエロペルオキシダーゼ欠損症
 ミエロペルオキシダーゼは好中球や単球の細胞質内の顆粒(かりゅう)に含まれる酵素蛋白のひとつで、酸素依存性殺菌能において重要なはたらきをしています。先天性好中球機能異常症では最も頻度が高い疾患です。しかし他の殺菌機構(メカニズム)がはたらきを代償する(補う)ため、臨床的には易感染性傾向はなく、生命の予後も良好です。