原発性(先天性)免疫不全症<子どもの病気>の症状の現れ方

 生後まもなくより反復する細菌、ウイルスによる気道感染、皮膚・口腔粘膜のカンジダ症肺炎膿胸(のうきょう)、敗血症(はいけつしょう)、間質性(かんしつせい)肺炎などの易(い)感染性(感染しやすい)を特徴とし、生後5カ月ころから難治性下痢症による体重増加不良が顕著になります。
 初発症状は乳児期の血便、紫斑などの出血傾向で、次いで難治性の湿疹、易感染性が認められ、食物抗原に対する即時型反応も乳児早期から認められます。死亡原因は乳幼児期の出血、感染とリンパ網内系(もうないけい)の悪性腫瘍です。この時期を乗り切ると長期生存も可能ですが、長期生存例では自己免疫性疾患、悪性腫瘍の合併が高い頻度でみられます。
 幼児期に進行性の小脳性運動失調、時に錐体外路症状で発症することが多く、次いで眼球結膜、耳介(じかい)・胸部などの皮膚の毛細血管拡張が生じます。さらに慢性気管支炎肺炎気管支拡張症などの気道を中心とする易(い)感染性(感染しやすい)を示すようになります。年長児においては呼吸不全非ホジキンリンパ腫白血病(はっけつびょう)などの悪性腫瘍の合併が高い頻度で生じ、予後を左右します。
 感染症は、母親から来るIgG抗体が消える乳児期後半(生後6〜9カ月以降)から認められます。主として膿皮症(のうひしょう)、気管支炎肺炎骨髄炎髄膜炎敗血症などの細菌感染がしばしば認められます。多くの例で慢性進行性の気管支拡張症を生じ、最終的には肺合併症で死亡する危険性が高くなります。

原発性(先天性)免疫不全症<子どもの病気>の診断と治療の方法

 組織適合抗原(HLA)が一致した同胞からの血液幹細胞移植によって、約90%が免疫機構を再建し直すことができるとされています。また、一部の疾患では遺伝子治療の成功例が報告されています。
 根治的な治療は、組織適合抗原(HLA)の一致した骨髄血(こつずいけつ)ドナー、もしくは臍帯血(さいたいけつ)からの血液幹細胞移植です。ドナーからのTリンパ球だけが生着した場合でも免疫機能は再建されます。血液幹細胞移植による治療前の静注用免疫グロブリンの補充、つまり置換(ちかん)療法は感染予防に有用です。
 脾臓(ひぞう)の摘出は出血傾向のコントロールとして有効で、血小板数・平均血小板体積の上昇が認められます。
 IgGサブクラスの欠乏がある症例では、免疫グロブリン置換療法が行われますが、根治的な治療法はまだありません。早期から継続的な理学療法(運動療法など)と言語療法を行います。
 治療としては、合併する感染症、膠原病(こうげんびょう)・血管炎(けっかんえん)の治療が中心となります。肺炎球菌(はいえんきゅうきん)、髄膜炎菌(ずいまくえんきん)ワクチンが感染予防に有用な場合もあります。補体制御蛋白欠損症(ほたいせいぎょたんぱくけっそんしょう)のなかのC1(補体第1因子)インヒビター欠損症では、発症の予防に男性ホルモン剤(テストステロン、ダナゾール)が有効です。また、C1(補体第1因子)インヒビター濃縮製剤は日本でも使用できます。
 静注用免疫グロブリンの置換療法が行われます。1カ月あたり400〜500mgkgの投与が行われます。一般的には血清免疫グロブリン値が谷間値(トラフ値)で少なくとも500mgdl以上を維持するように調節します。