染色体異常の病気とはどんな病気か

 先天的に染色体の数や構造に異常があり、そのためにいろいろな症状を示すものです。新生児160人に1人の割合でみられます。
 数の異常には倍数性(ばいすうせい)と異数性(いすうせい)とがあります。
 倍数性は半数性の染色体23本の3セット以上をもつ異常で、3倍体(染色体数69本)や4倍体(染色体数92本)があります。これらは通常自然流産します。
 異数性はある染色体が増減するような異常です。流産することが多く、出生に至るものは限られています。
 構造の異常には欠失(けっしつ)(染色体の一部の断片が失われたもの)、相互転座(そうごてんざ)(複数の染色体に切断が生じ、断片を交換したもの)、逆位(ぎゃくい)(同じ染色体の2カ所で切断が生じ、断片が逆さまに再結合したもの)などさまざまなパターンがあります。これらの構造異常は、大きく均衡型と不均衡型に分類されます。
 均衡型は染色体が量的には正常と変わらないもので、不均衡型は染色体の一部が増減しているものです。不均衡型はある遺伝子群が余分にあるか不足しているため、何らかの症状がみられます。均衡型は無症状のことが多いですが、切断点が重要な遺伝子の上にあった時などは、それに応じた症状がみられます。

原因は何か

 精子や卵子はつくられる過程で減数分裂(げんすうぶんれつ)を起こします。これは対になる染色体が1本ずつ2つの細胞に分かれるものです。これにより精子や卵子は23本の染色体をもつことになり、受精により46本の染色体をもつ受精卵になります。この染色体の分離がうまくいかないと染色体数の多い、あるいは少ない精子や卵子がつくられ、それらが受精することにより染色体の数の異常が生じます。
 不分離の原因はいろいろあげられていますが、母親の加齢に関係することがよく知られています。構造の異常は、精子や卵子がつくられる過程で染色体の切断や再結合が起こることによります。染色体の切断には、放射線やある種の化学物質などが関係するといわれています。精子では15%、卵子では20%が染色体の異常をもっています。

症状の現れ方

 一般に常染色体(じょうせんしょくたい)異常症では、精神発達の遅れ、発育の障害、種々の奇形、とくに小奇形を伴う多発奇形がみられます。一方で性染色体(せいせんしょくたい)異常症では性腺発育障害が多くみられます。染色体の特定の領域には特定の遺伝子があるため、異常のある染色体領域と臨床症状の間には一定の関係があります。しかし、逆に同じ染色体異常症でも症状にはかなりの個人差がみられます。

検査と診断

 症状から染色体異常症が疑われる場合は、染色体の検査を行います。採取した血液中のリンパ球に、ある処置をして染色体を染めて顕微鏡で観察します。ギムザ染色が一般的ですが、高精度で染める方法もあります。また、最近はFISH法やCGH法が開発され、染色体の非常に細かい部分の解析も可能になってきています。

治療の方法

 根本的な治療法はなく、症状に応じて治療を行うことになります。たとえば心臓の合併症には手術が行われることがあります。日常生活の指導や訓練などの発達の支援も、大切になります。

染色体異常の病気に気づいたらどうする

 症状から医療機関で気づかれることがほとんどです。家族内での再発の心配に対しては、遺伝カウンセリングが行われます。また、多くの染色体異常症で家族会が活動しており、情報収集に有用です。