胃腫瘍(胃がん)<お年寄りの病気>の診断と治療の方法

 胃がんの治療は長い間、外科的手術が第一選択とされ、胃の3分の2から、場合によっては全部をとる手術が標準とされてきましたが、近年では治療後の生活の質(QOL)を保つために、切除範囲をなるべく小さくする努力がなされています。日本胃癌学会が作成した胃がんの進行度別の治療ガイドラインによれば(表3)、胃の粘膜に限局したがんであれば、内視鏡を使った局所切除術が第一選択の治療となっています。高齢者には前述のように隆起型の分化型がんが多いため、早期に発見すれば内視鏡による切除のよい適応となります。
 進行した胃がんに対する外科手術では、がんが転移しやすいリンパ節を広範囲に切除することが推奨されています。しかし、高齢者の場合は広範囲の切除で体力を消耗すると肺炎などの術後合併症を伴いやすく、入院が長期化する傾向にあります。高齢者の長期臥床(がしょう)は筋力の低下を招き、認知症の進行を促す場合があるため、なるべくすみやかに離床を進めることが必要です。
 したがって高齢者の胃がん手術では、根治性と安全性のバランスを考え、取り残しを極力減らしながら、切除範囲をなるべく小さくする努力が要求されます。術後の抗がん薬も、現時点では有効性の確立した薬剤はないため、高齢者では副作用との兼ね合いから使用しないほうがよい場合も多いようです。