前立腺疾患<お年寄りの病気>の診断と治療の方法

 治療は自覚症状と「生活の質」の状態、尿の勢いの程度、残尿量、前立腺の大きさを総合的に評価して「軽症」「中等症」「重症」に分けて決めます。
 「軽症」では薬物療法を選択します。「中等症」以上で手術療法が適応されます。内視鏡手術(経尿道的前立腺切除術:TUR‐P)や開腹による前立腺摘除術が行われます。尿がまったく出ない尿閉状態や重篤な合併症で手術ができない場合は、管(カテーテル)で尿を出すようにします。長期の尿道カテーテル留置になると尿路感染や尿道出血・尿道損傷などが生じるので、カテーテル管理が重要となります。
 治療の選択は原則として病期分類に従って行われますが、悪性度も考慮します。高齢者では全身状態や家庭環境、経済的状況なども考える必要があります。80歳以上の高齢者で悪性度の低いがんに対しては積極的治療をせずに、定期的なPSA測定で経過をみる待機療法が選択されます。
 積極的な治療としては抗男性ホルモン療法(内分泌療法)、手術療法(根治的前立腺全摘除術)、放射線療法などがあります。内分泌療法が広く行われていますが、根治的には手術療法を選択します。75歳以下で転移がなく、がんが前立腺内に限局している場合に適応となります。
 近年、放射線療法は従来の外照射法の他に組織内照射法(小線源療法)も行われるようになりました。進行がんや内分泌療法が無効の内分泌抵抗性がんに対して最近、化学療法(かがくりょうほう)が導入され、また骨転移に対しても化学療法が行われ始めていますが、いずれの化学療法もいろいろな副作用があり、高齢者では十分な注意が必要です。手術療法では術後後遺症の尿失禁が問題で、失禁ケアが大切となります。
 したがって高齢者では急性増悪の前立腺炎にならないように慢性尿路感染症の予防に努め、日頃の尿路管理を適切に行うことが大切です。また前立腺肥大症などの原因疾患の治療も重要となります。