糖尿病<お年寄りの病気>の診断と治療の方法


包括的老年医学的機能評価(CGA)の重要性
 高齢者の糖尿病をはじめとする慢性疾患の良好な管理のためには、病気の治療だけではなく、その後の自己管理が十分に行えるか否かを評価することが重要です。そのためには、高齢者に対して行われる包括的老年医学的機能評価(CGA)を糖尿病の患者さんにも適用する必要があります。
 このCGAは、患者さんの身体機能、認知機能、基本的日常生活動作(ADL)、日常生活能力、生活の質(QOL)、うつ傾向、社会的サポート、経済的サポートなどの項目を、それぞれの指標やアセスメントツール(評価項目)を用いて、専門の心理療法士によって評価するものです。
 このCGAによると、高齢の糖尿病患者さんが虚弱(日常生活のうえで他人の介護が必要な状態)になる原因として、健忘症や認知症(にんちしょう)などの認知機能の低下、網膜症(もうまくしょう)や白内障(はくないしょう)による視力障害、うつやノイローゼなどの精神症状、脳血管障害の後遺症、透析(とうせき)を含む末期腎不全(まっきじんふぜん)などをあげています。このような虚弱な高齢の糖尿病患者さんを在宅で管理するためには、キーパーソンの存在が不可欠です。
 図15は、高齢の糖尿病患者さんのCGAの1例を示したものです。CGAを行うことにより各患者さんの問題点を抽出し、主治医を中心に精神科医、看護師、栄養士、理学療養士などの医療関係者と、キーパーソンとなる家族を含めたチームで、その解決策を作成し、適切に対処することが可能です。
 図15の例では、CGAで抽出された問題点を医療チームや家族で対処することで、糖尿病のコントロールのみならず、患者さんのうつ傾向が改善し、それに伴うQOLも大きく改善されています。さらに、加齢の進行とともにCGAを繰り返し、問題点の変化を的確に把握することが、今後の高齢の糖尿病のよりよい治療と管理のために必須のものと考えられます。