骨粗鬆症<お年寄りの病気>の診断と治療の方法

 骨粗鬆症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法からなります。加えて高齢者の骨折予防のためには、前述したように骨自体の強度のみならず、運動能力の維持・増進や転倒防止を念頭においた環境の整備も必要になります。
 近年、骨代謝マーカー(骨形成や骨吸収の状態を反映する物質)の検査が実用化されています。この検査をすると、骨代謝状態の把握、治療薬の選択、治療効果の評価に役立ちます。
 現在、日本では8種類の治療薬が使用可能です。治療薬の選択にあたっては、個人ごとの骨代謝の多様性を考え、加えてそれぞれの薬の特徴をいかした処方を行います。原則的には単剤を使用し、効果があって有害な事象がないかぎり、できるだけ長く同じ薬を使用します。
 骨粗鬆症の薬物療法の目的は骨折の予防ですが、それぞれの薬剤の特徴や有効性について、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」にまとめられています。このガイドラインはこれからも改訂されていく予定です。
 現在主流となっている薬剤は、骨吸収(古い骨が溶かされること)を抑える作用をもつもので、ビスホスフォネート製剤と選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)です。これらの薬剤は、骨量増加作用とともに骨折発生抑制効果が証明されています。
 活性型ビタミンD3製剤やビタミンK2製剤にも骨折抑制効果が認められています。高齢者ではビタミンDやビタミンKが不足しないように栄養指導を行うことも必要ですが、活性型ビタミンD3製剤やビタミンK2製剤も単独であるいはビスホスフォネートに併用して使うことを検討します。ただし、ビタミンK2製剤はワルファリンという血液凝固阻害薬を服用している人には使えません。
 骨粗鬆症の症状のひとつとして腰背痛があります。腰背痛はさまざまな病気によって現れるため、鑑別診断が重要です。骨粗鬆症による腰背痛の治療には、安静や湿布による局所療法のほかに、カルシトニン製剤による治療(筋肉注射)を行います。
 骨粗鬆症に対する治療効果は、DXAによる骨量測定、胸腰椎(きょうようつい)のX線撮影、骨代謝マーカーの測定によって評価します。6カ月〜1年くらいでそれまでの治療を見直し、継続、追加、または変更をしていきます。
 また、転倒しても大腿骨近位部骨折に結びつかないように、大転子部(大腿骨の外側の出っ張り部分)を硬質ポリウレタンなどでおおう「ヒッププロテクター」という装具が市販されています。これは現在のところ保険の適用外で、使い勝手を向上させる工夫など未解決な課題もありますが、活用を検討したい装具のひとつです。使いたい場合は医師に相談し、指導を受けるようにしてください。