体内局所の化膿巣(かのうそう)から間欠的(かんけつてき)または持続的に大量の細菌が血液中に流入して、全身の諸臓器に転移性の感染病巣を形成するもので、細菌感染症のなかで最も重篤な病態です。多発性の感染により全身に過度の炎症反応が起こる、全身性炎症反応症候群(SIRS)が本症の主要症状です(コラム)。
 原因菌は感染巣の部位により異なっていますが、臨床的には同じような経過をたどります。高齢者では、菌の侵入は、尿路感染症に由来するものが約30%と最も高頻度で、そのほか、中心静脈栄養(IVH)のための静脈内留置カテーテル、胆道感染症、呼吸器感染症、褥瘡(じょくそう)感染症などに由来するものが多くみられます。

症状の現れ方と診断

 全身症状としては前述のSIRSによる、悪寒戦慄(おかんせんりつ)を伴う高熱、頻(ひん)呼吸、血圧低下などがみられます。高齢者では意識障害や食欲不振などが前面に出ることもしばしばあります。
 診断は、原病巣および転移巣の証明、血液培養による菌検出、さらに血液検査では、白血球数、血小板数の急激な増加または減少、CRP高値、赤血球沈降速度(赤沈)の亢進、γ(ガンマ)‐グロブリンの増加などから行います。

治療の方法

 発症初期より、原因菌に対して殺菌力のある抗生剤の経静脈投与が治療の基本となります。全身管理として適切な輸液を行って電解質異常を改善し、また、ビタミン剤、強心薬、肝庇護薬などを適宜投与します。
 ショック、播種性血管内凝固(はしゅせいけっかんないぎょうこ)症候群(DIC)の合併例では、早期から輸液、昇圧薬、抗凝固薬のヘパリン製剤、アンチトロンビンIII製剤(アンスロビンP)や蛋白分解酵素阻害薬のメシル酸ガベキサート(エフオーワイ)などの単独または併用投与をします。
 また感染巣の外科的処置として、膿瘍(のうよう)形成があれば切開排膿やドレナージ(排液)を行います。

経過と予後

 基礎疾患の重篤度、原因菌、栄養状態、合併症の有無などが予後に大きく影響します。高齢者では一般に予後は不良で、とくにDICやショックを合併すると致命率が高くなります。