羊水過多症とはどんな病気か

 子宮内の羊水が800mlを超えると判断される場合を羊水過多といい、これに母体の自覚症状を伴う場合を羊水過多症といいます。羊水は主として胎児の尿、肺胞液(はいほうえき)から産生され、嚥下(えんげ)により胎児に吸収されます。両者のバランスにより羊水量は安定していますが、バランスの破綻(はたん)から羊水量に異常を来します。

原因は何か

 原因として、羊水産生の過剰か吸収の減少が考えられます。産生過剰の代表的な例は双胎間輸血(そうたいかんゆけつ)症候群(多胎妊娠を参照)であり、受血児は多尿になるため高度の羊水過多となります。腎臓や肺の異常による羊水過多も報告されていますが、その頻度は低いようです。
 原因の多くは吸収の減少であり、嚥下障害と消化管通過障害によります。嚥下障害としては、中枢神経系の異常、筋骨格系の異常、消化管通過障害としては食道閉鎖、十二指腸閉鎖などの上部消化管の閉鎖などがあります。内臓が腹壁外に脱出した異常(髄膜瘤(ずいまくりゅう)、臍帯(さいたい)ヘルニア)では、そこから髄液(ずいえき)や漿液(しょうえき)の漏出を来し、羊水過多となることもあります。母体の糖尿病やウイルス感染、胎盤腫瘍(たいばんしゅよう)も原因となりえます。

検査と診断

 診断は超音波断層法により行います。羊水腔は子宮内のエコーフリースペース(超音波の反射がない部分)として観察され、そのスペースの大きさ(たとえば、径が8cm以上など)により診断します。羊水過多と診断されたら、原因の検索を行います。母体の糖尿病検査、感染症検査、胎児・胎盤の超音波検査を行い、それぞれの原因に応じた管理を行います。

治療の方法

 母体の呼吸困難、悪心(おしん)、嘔吐、心悸亢進(しんきこうしん)などの症状がみられる場合には、腹壁から穿刺針(せんししん)を子宮腔内に刺し入れ、羊水を吸引除去します。大量の急速吸引による急激な減圧は、胎盤剥離(たいばんはくり)や子宮収縮を誘発することがあるので注意を要します。羊水除去の効果は一時的であることが多く、繰り返し行うか、胎児が成熟しているようであれば娩出させます。
 羊水過多の時は通常の経腟分娩(けいちつぶんべん)では合併症を起こしやすいので、帝王切開が行われることが多くなります。