離人症性障害<こころの病気>の症状の現れ方

 この障害では、現実感の喪失と呼ばれる症状が特徴的です。この症状は、しばしば一時的に、時に持続的反復的に出現します。これはたとえば、自分自身の感覚や体験が、自分から隔(へだ)てられている、あるいは、よそよそしく自分自身のものではないと感じられるという自己感覚の変容であるものから、もう少し具体的に、人が大勢いる室内にいるのに周囲の人々や雰囲気が非現実的で、まるでマネキンが林立している無機質な建物のなかにいるかのような感じを受けるというものまでさまざまです。
 このような異常な体験をしていながら、現実を吟味する力はあまり減弱することなく、こうした体験の異常性を認識し、さらにこうした体験が自分の外部からの人や「力」によって引き起こされているといった被害的、あるいは妄想的な認識はもちません。
 併存する障害がなければ、この現実感の喪失以外に明確な症状をもちませんが、先ほど述べたように現実感の失われる程度にはバリエーションが多くみられるので、この障害を疑ったら種々の側面から現実感の喪失を問うことが大切です。
 診断では、身体的疾患の除外とともに、てんかんや中毒性(アルコールや薬物)の障害ではないことを鑑別することが大切です。さらに、他の精神障害と重なっていないかを確認します。
 そのうえで、症状の特徴をとらえていきますが、この障害のための特別な検査はありません。医師は、たとえば「自分がいつもの自分でない感じ、あるいは自分の手や体が自分のものでないような感じはありませんか?」あるいは「外の景色がいきいきと感じられず、何か作り物のように感じられることは?」といったことをたずねます。

離人症性障害<こころの病気>の診断と治療の方法

 この病気に特異的な治療法はありませんが、しばしばストレスと関連して現れているので、カウンセリングによりストレスの要因を明らかにして、それを減らしたり、対処や回避の方法を工夫するなどは有効です。予後は、半数くらいの人で症状が慢性化しやすく、その程度もあまり変化しないとの報告があります。