言語発達障害および学習障害(特異的発達障害)<こころの病気>の症状の現れ方

 いくつかのタイプに分けられていますが、乳幼児期の発達経過のなかでよく認められる特徴には共通点も少なくありません。

乳児期
 生後半年くらいはほとんど異常が認められないことが多く、お母さんなどのあやしかけによく反応し、よく甘えていたということが多いようです。しかし、通常、人見知りやあと追いがみられる時期になってもそれがみられず、誰にでもすぐなつき、愛想がよいといわれたりします。一方、簡単な身ぶりのまねを促しても、なかなかのってこなかったりします。

幼児期早期
 幼児期の早期は、発語が遅れることが多く、聴覚障害の疑いがもたれることもありますが、話し言葉以外の音の刺激にはよく反応するため、聴覚障害は否定されます。話し言葉の理解はよくても発語がうまくできなかったり、相手の話におよその見当をつけて反応しますが、実際には正確に指さしができなかったり、自分の意思を言葉で表現できなかったりします。
 さらには、歩行開始が遅れたり、歩けるようになってもひどくぎこちなく、よく転んだりする場合もあれば、はいはいの時期があまりなく、歩き始めも早くて、歩き出すとじっとしていることがなく、母子の間でゆったりとした交流がもてなかったりします。
 話し言葉は理解できなくても、相手の身ぶりをみて相手の意思を読み取ろうとしたり、みずからも身ぶりで意思を伝えようとする仕草がみられることもあります。

幼児期後期
 幼児期の後期は、落着きのなさがひどくなり、じっとしていられず、始終動き回ります。ささいな刺激にもすぐに反応して、集中力がなく、何かをさせようとしてもすぐにほかのことに気が移りやすくなります。集団遊戯(ゆうぎ)にもなかなか参加できず、自分勝手なひとり遊びに逃げ込みやすいところがあります。その場にも多少慣れて遊戯ができるようになっても、うまくできず、すぐにほかのことに逃げ込んでしまったりします。
 情緒面でも不安定で、かんしゃくを起こしやすかったり、衝動的に突発的な行動をすることもあります。とくに集団生活のなかで不適応が顕著になってくると、そのような場面がみられやすくなります。

学童期
 学童期になると、多少なりとも落ち着いてきますが、学習面での特有な障害が顕著になってきます。本を読んだり、文字を書いたり、計算したりする能力の獲得に著しい困難を示すようになります。一つひとつの文字は読めても文章の内容の理解が難しかったり、数字は読めても、物の数は数えられなかったり、工作や体育が苦手だったりします。
 子ども自身に苦手意識が芽生えてくると、そのような課題に対して回避的になり、生活面でさまざまな問題が生じてくるようになります。大人との間ではある程度うまく振る舞うことができても、同年齢の子どもとの交流は困難であることがほとんどで、次第に集団のなかから孤立するようになります。そうなると、被害的な気持ちをもち、他の子どもに対して攻撃的行動を示すこともあります。

言語発達障害および学習障害(特異的発達障害)<こころの病気>の診断と治療の方法

 何らかの脳の機能障害に基づくハンディキャップをもつと考えられるため、従来の狭い医療の枠内で考えるのではなく、子どもの精神発達全般にわたって、どうすれば好ましい方向に行くのかを基本に考えます。そのためには、子どもの障害を把握することはもちろん、生育史の特徴、家族背景、現在置かれている社会的環境なども考慮に入れます。
 とくに大切なことは、子どもの示す症状は決してわがままや育て方によって起こったものではなく、生来的なハンディキャップをもつ子どもなのだとみなして対応する基本的態度を、家族や周囲の人がもつことです。そうした認識のもとに、子どもの環境を整えていくことが必要です。
 具体的な治療の方法としては、身体運動訓練、言語指導、学習訓練などをその子どもの障害に合わせて適度に組み合わせて行うとともに、時には多動(たどう)の改善を目的に薬物療法(メチルフェニデート:コンサータ)を併用することもあります。
 多くの場合、子どもと養育者との間の情緒的な心のつながりが希薄になりやすいので、訓練に主体を置くのではなく、子どものこころの成長に主眼を置いたはたらきかけを目指します。本人への精神療法的援助や家族へのカウンセリングも大切です。