切創とはどんな外傷か

 皮膚は、表面から表皮・真皮・皮下組織(脂肪など)に大別され、その下に筋肉や骨などがあります。医学的には、物理的な皮膚の損傷が表皮・真皮内のものを「傷」といい、その下の皮下組織や筋肉などにまで達した傷を、特別に「創(そう)」と分類しています。
 切創とは、刃物、あるいは金属やガラス片といった辺縁が鋭利な器物が皮膚面に接し、一定方向に力がはたらいた時に生じる切り傷のことです。切創による損傷の範囲は、刃物などの器物が接触した部位に限定されます。
 切創の重症度は、損傷した組織の深さと幅によります。皮膚のみに限定されるものから、骨に達する深いものまでさまざまです。そのほか、損傷されうる組織として脂肪、筋肉、腱(けん)、動静脈、神経、靭帯(じんたい)があげられます。
 各組織が部分的に損傷している場合は自然に修復される可能性がありますが、血管、神経、腱の完全な断裂では時に緊急に縫い合わせる処置が必要になることがあります。
 創のなかに、異物や汚れがあると創は治ることがなく、皮膚を縫い合わせてもふさがりません。そのため、医療機関における切創の治療原則は、異物の除去、洗浄、消毒により可能なかぎり病原微生物の数を減らし、創の修復後、早期に皮膚を縫い合わせ、新たな外部からの病原微生物の侵入防止や創内の止血を目的としています。

応急手当

 血を止めることが主体になります。一般の人が受傷後にまず実施すべき処置の原則は、実施者の安全確保です。血液を介する感染の予防法として、手で直接、創に触れないことが重要です。具体的には、台所で使用するようなゴム手袋をはめ、さらに可能であれば、マスクの装着もすすめられます。
 次に、出血している部位を創の上から直接圧迫します。創には、縫い目の密なガーゼ、ハンカチなどの布を用いて親指で圧迫し、手足の創では、ほかの4本の指ではさみ込むようにします。
 出血が持続し、血液が布ににじみ出てくるようであれば、その上にさらに布をあてて圧迫を続けることが大切です。
 また、手足の出血では、出血部位を心臓より高くします。これによって創部の血流が減少し、止血効果が期待できます。

医療機関における治療

 創内の病原微生物が増殖しないとされる受傷後6時間以内に、医療機関に受診することが重要です。そうすれば、医療用テープでの創の密着、糸による創縫合、医療用ホチキスでの創閉鎖などの処置が行えます。
 受傷後、長時間が経過した場合は、病原微生物が増殖して感染を起こすため、これらの処置は行えません。洗浄や消毒によって創の清浄化を図り、後日、縫合・閉鎖をします。抜糸は5日前後で可能です。