擦過傷とはどんな外傷か

 すり傷のことを擦過傷といい、皮膚の表面を地面やコンクリートなどにこすりつけた際にできる傷を指します。
 「傷」とは皮膚の表皮・真皮内にできたもので、その下の皮下組織や筋肉などまでには達していない状態です(達した状態を特別に「創(そう)」という)。したがって、擦過傷による損傷自体は皮膚(表皮・真皮)に限定されます。
 擦過傷は、皮内に土や砂などの異物が入り込むことが多く、結果として病原微生物が増殖し、局所の感染を起こすことがあります。また、知覚神経の末端が露出するため、痛みを伴うことも特徴です。
 一般に創傷は、病原微生物が一定の数以下であれば、化膿などの感染症の徴候を認めず、修復のメカニズムがはたらいて治ります。したがって、受傷後は損傷部を水道の流水でよく洗い、病原微生物の数を減らすことが重要になります。基本的に、創面・創内の消毒薬使用は適応がありません。
 処置が不適切であれば、新しい皮膚の再生が起こりにくく、黄色調の感染を伴った痂疲(かひ)(かさぶた)ができます。この痂疲の裏側で病原微生物が増殖した場合、傷の治りが悪くなり、痛みも持続します。
 さらに、皮内に異物が残ったままで皮膚が再生すると、異物自体の色が入れ墨のようになる刺青(しせい)(外傷性刺青)として残り、美容的に問題となります。

応急手当

 土や砂などの異物を、水道の流水で可能なかぎり取り除くことを最優先します。これによって異物が除去できた場合で、かつ損傷が小範囲であれば、市販されている創傷用の被覆材(ひふくざい)を貼付(ちょうふ)します。
 損傷が広範囲で異物が十分に除去できなければ、感染が長引いたり、美容的な問題もあるため、医療機関への受診が必要です。

医療機関における治療

 異物の完全な除去を目的に、ブラシを用いて洗浄します。そのうえで創傷部辺縁および周囲を消毒し、損傷部の範囲や深さに応じて密着型の被覆材を貼付します。これにより、痛みの緩和、傷跡が残りにくいなどの効果が得られます。
 治ったあとの皮膚は、紫外線の影響で色素沈着を起こしやすいため、数カ月間、紫外線にさらされないようにする必要があります。
 管理については、医師の指示に従ってください。