喀血も吐血も口や鼻をとおして出てくる出血ですが、出血源が異なります。喀血とは気管や気管支、肺などの呼吸器系の器官からの出血であり、吐血とは食道や胃、十二指腸などの消化器系の器官からの出血です。
 喀血と吐血を判別することは簡単ではありませんが、一般的には喀血は咳(せき)などと一緒に起こり、真っ赤(鮮紅色)な色であり、泡沫(ほうまつ)と一緒に出てきます。吐血は胃液と混合されることが多いので、暗赤色、茶色〜褐色、黒色であり、コーヒー残渣(ざんさ)様と表現されることがあります。

●喀血(かっけつ)
 原因としては結核(けっかく)、肺がん気管支拡張症などの病気が一般的ですが、外傷の時に起こる喀血は、胸部の外傷、すなわち肺挫傷(ざしょう)、気管・気管支損傷などの時に起こります。
 応急処置としては、窒息(ちっそく)を防ぐよう気道確保が中心になります。少量であれば、自然に止血することも多いのですが、量が多いと呼吸不全や窒息を起こすことがあるので、病院に搬入後は、気管挿管(そうかん)と呼ばれる気道確保ののち、人工呼吸を行ったり、気管支鏡を用いた止血術を行うことがあります。
 場合によっては、カテーテルによる血管内治療(TAE)が止血の手段として用いられることもあります。

●吐血(とけつ)
 原因としては食道静脈瘤(じょうみゃくりゅう)胃潰瘍(かいよう)十二指腸潰瘍などの病気が一般的です。外傷によって直接的に食道、胃、十二指腸が損傷することで吐血することは、それほど多くありません。むしろ、頭部の外傷や全身的に重症な外傷を負った強いストレスにより、急に胃にびらん・潰瘍が発生して出血が起こり(急性胃粘膜病変)、そのために吐血が起こることが多いと考えられます。
 そのため、重症外傷の患者さんには、腹部に外傷がない場合でも早期に予防的に抗潰瘍薬を投与します。もし病院に到着する前に吐血した場合の応急処置としては、吐血による窒息が起こらないように、吸引などの気道確保が中心になります。また、顔面の外傷患者は、鼻出血や口腔内の出血を飲み込み、それを吐き出すことで大量の吐血をすることがあるので注意が必要です。
 治療は原因にもよりますが、投薬や内視鏡治療を行う場合があります。