頭部外傷後遺症<外傷>の症状の現れ方

 局所の脳組織の挫滅(ざめつ)(脳挫傷(のうざしょう))では、受傷部位から後遺症の予測が可能です(図3)。
 片側の前頭葉や側頭葉の前から数cmまでの範囲は、比較的後遺症を起こしにくい場所です。前頭葉のいちばん後ろには手足を動かす運動中枢があり、侵された側と反対側の半身の麻痺(片麻痺(かたまひ))を来します。前頭葉の後ろには頭頂葉があり、頭頂葉のいちばん前には手足の感覚(体知覚)の中枢があります。体知覚中枢(たいちかくちゅうすう)は運動中枢と接して存在するため、通常は運動麻痺と感覚障害の両方が認められます。そのほか、言語障害は一般に左の脳の障害で起こりやすいとされています。
 広範囲の損傷や、脳の深部の損傷では意識障害が後遺症として残ります。重症の場合には、開眼はしていても意思の疎通ができず、運動や言語も損なわれた遷延性(せんえんせい)意識障害(いわゆる植物状態)になります。生命維持中枢(脳幹(のうかん))の機能は保たれているので、呼吸や心臓機能に障害は認められず、脳死とはまったく異なります。