四肢麻痺<外傷>の診断と治療の方法


(1)全身管理
 自律神経の異常による徐脈(じょみゃく)(脈拍が遅くなること)や低血圧に対しては循環の管理が、呼吸筋の麻痺に対しては気管内挿管(きかんないそうかん)(気管にチューブを入れること)や気管切開による呼吸管理が必要です。
 また、胃や腸の動きが悪くなり、麻痺性イレウス腸閉塞(ちょうへいそく))を生じたり、胃・十二指腸潰瘍を起こすことがあるので消化器の管理が、排尿障害に対しては尿道にカテーテルを留置するなどの尿路管理が必要です。

(2)初期治療
 前記の全身管理のほか、頸髄損傷に対しては頸椎損傷と同様にまず絶対安静を保つために、砂嚢(さのう)や装具による固定や牽引(けんいん)を行います。頸椎の脱臼やずれのある骨折に対しては、頭蓋骨にピンを刺し、牽引することにより整復を行います。不全麻痺で牽引療法によって脱臼が整復されない場合や、粉砕骨折などで骨片が脊髄を圧迫している場合は、緊急に手術が行われる場合があります。
 また、脊髄麻痺に対してステロイド剤(ソル・コーテフなど)の緊急大量療法、濃グリセリン・果糖(グリセオール)の静脈注射などの薬物療法を行うこともありますが、その有効性については意見の分かれるところです。

(3)合併症と予後
 頸髄損傷では、呼吸筋麻痺(こきゅうきんまひ)、尿路感染症、褥瘡(じょくそう)(床ずれ)が主な合併症です。受傷後24時間の時点で完全麻痺の状態であれば、回復は期待できないといわれています。

(4)本人、家族への説明
 突然の四肢麻痺に対する本人および家族の心理的動揺を考え、心理的援助も必要です。
 自立した日常生活が難しいと判断された場合は、家族などの介助が必要であることを告知します。