鼓膜損傷とはどんな外傷か



 鼓膜がいろいろな外傷により穿孔(せんこう)(孔(あな)があくこと)を起こした状態をいいます(図20)。

原因は何か

 頭部外傷、爆風、平手打ち、耳かきやマッチ棒による耳掃除などによって起こります。耳掃除の最中、手に何か(子どもなど)がぶつかったりして起こることが多いのです。

症状の現れ方

 耳痛、耳鳴り難聴などが起こります。感染が起これば数日後に耳漏(じろう)が出ます。鼓膜穿孔の大きさ、部位により難聴の程度が異なります。
 これに加えて鼓膜の内側についている耳小骨の連結にも異常があれば、難聴の程度も強く、めまいを伴うこともあります。めまいは内耳とつながっているアブミ骨の脱臼(だっきゅう)が起こり、蝸牛(かぎゅう)の外リンパ液が漏れているため(外リンパ瘻(ろう)という)に起こります。耳かきなどの耳のなかでの方向によっては、顔面神経麻痺も起こります。
 頭部外傷による頭蓋底骨折では髄液(ずいえき)が耳管を通り鼻に流れてきたり、鼓膜穿孔から耳漏のように流れてくることもあります。

検査と診断

 鼓膜穿孔の診断は額帯鏡(がくたいきょう)、オトスコープ、顕微鏡、ファイバースコープにより容易です。聴力検査により難聴の程度、内耳障害の有無、耳小骨(じしょうこつ)連鎖の離断が予測できます。めまいがあれば外リンパ瘻を疑って平衡機能検査を行います。

治療の方法

 感染を起こして耳漏があれば、アミノ配糖体を含まない抗生剤の点耳薬、内服薬を数日服用します。耳漏がなければ鼓膜の穿孔を和紙(たばこの紙)などでふさぎます。1〜2週ごとに紙のずれや穿孔の大きさを検査します。
 外傷から時間がたっている場合、顕微鏡を使って鼓膜の穿孔縁を処置したのち、3Mテープ、キチン膜、コラーゲンシートなどで閉じます。
 穿孔が大きいと閉じにくいので、これらの処置でもふさがらない場合は、自分の組織(耳後部の筋膜や結合組織)をフィブリン糊で接着する方法があります。
 外来あるいは短期入院で手術ができます。